第28話 俺、破滅イベントを達成する(吐血)
アマテラスの登場、三人の刺す様な視線、そして俺は数秒前の会話を回想する。
・・・アマテラスが俺のアカウント名口にしてるわ。
アマテラスゥゥゥ!
やっちゃってるよ!お前やらかしちゃってるよ!
この天然めー!!
「おいおい、俺の名前は国立だぞ。このお茶目さんめ!」
苦しい!我ながら苦しい!
「そうそう!国之さまの本名初めてしったよ~。」
苦しいどころじゃなかった。
この子に一切のアドリブは通用しなかったわ。
俺は再度みんなの顔を見る。
これはあれだ、てへぺろして許される雰囲気じゃないわ。
俺は素早く席を立ち、ジャンピング土下座をかました。
「サーセッシターァ!」
一切の躊躇はなかった、
尊厳?プライド?そんなものが人の窮地を救った例なんぞ知らん。
が、大切な事がある。
それは理由を聞いてもらう事だ。
その理由が相手にとって許せる理由になるかどうかは判らない。
ただやった事だけを知られて終わるよりは後悔がない。
「どうか、どうかここまでの経緯を聞いてください!!」
更に頭を下げるとき勢い余って俺の頭が床に当たって派手な音を立てた。
で、気を失った。
ふと意識が戻ると俺は何か軟らかいものの上に頭を乗せていた。
え?なにこれ?すっごいふわふわなんだけど。
俺がうっすらと目を開けると徐々に視界が慣れて人が覗き込んでいるのが分かった。
「あ、気が付いたのね。」
「・・・」
「うお!?マ、マスター!!?」
俺は跳ねる様に上体を起こして激しく脈打つ心臓を落ち着かせる。
起きたら濃いめの化粧と青髭の顔なんて目覚めに悪いぞ!
しかしなんでマスターが?
「んもう、心配したんだから。土下座で頭打ち付けて気絶した人なんて初めて見たわ。」
その言葉に記憶がよみがえり、それと同時に俺の額がズキズキと痛んだ。
周りを見るとそこは倉庫兼従業員控室だった。
「あの、みんなは?」
他に誰もいないのを見て俺はマスターに聞く。
「もうそろそろ夜だし、みんなは帰したわよ。」
「え?もうそんな時間?てかあの後どうなったんですか?」
マスターは同情する様な顔で俺の肩に手を置いた。
「え?どうなったんです!?何があったんです!?」
勢い込んで俺はマスターの両肩を掴む。
その時、ガチャリとドアが開いて木花さんが入ってくる。
「国立さん、起きたんですね。声大きいですよ・・・。」
一瞬木花さんの動作が止まる。
ん?どうしたんだ?
「失礼しました。」
そう言うと木花さんはドアを閉めた。
「ちょっ!!待って!変な勘違いしないで!」
って両頬を抑えて赤くなるんじゃない、マスター!
ホントこの人一回殴ってやろうか。
そんな事を考えていると再度ドアがガチャリと開く。
「冗談ですよ冗談。これ位で取り乱さないでくださいよ。」
すっごい良い笑顔で木花さんが入ってくる。
ホントやめて、そういう冗談。
って、まずは本題だ。
「木花さん、あの後どうなったの?俺が気絶してから。」
俺がそう聞くと木花さんも同情する様な顔で俺の肩に手を置いた。
いや、だからなんなんだよ!?
もったいぶらずに教えてくれ~!
「あ、そうそう、国立さん、
そう言って木花さんは俺にケースにしまわれた
俺はそれを受け取ってから再度木花さんに同じ質問をした。
「国立さん、世の中知らない方がいい事もあるけど・・・本当に知りたい?」
なにその含みありすぎな言い方。
「というか知りたいかって言われたら知りたい以外の選択肢無いんだけど?」
「ですよねー。でもこれ私達が話していいものかどうか。」
「そうよね~。」
マスターも同意する。
木花さんはちょっと考えてから言った。
「あ、そうだ。国立さんが聞きたい事を聞いてくださいよ。そしたら答えますから。あ、でも一旦お店のクローズ作業終わらせてきますね。」
そう言って木花さんは部屋を出て行った。
ナイスアイデア・・・なのか?
いや、あの後どうなったか聞きたいだけなのに、他にどう聞けばいいんだ?
俺はマスターの顔を見る。
「私も咲夜ちゃんのお手伝いしてこなくっちゃ。ずっと膝枕してサボってたから。」
そういってマスターも逃げる様に出て行った。
というか、ずっと膝枕してたのかよ!?必要あったのかよ!?
それはさておき、というか記憶から削除して今できる事を俺は考える。
そこで近くのテーブルに置かれたケースを目にして思い出す。
あそこにはアマテラスも居たわけで、あいつに聞けばいいんだ。
俺は世界創造をケースから取り出してモニターを開いた。
そこには、
『本日は都合により終了しました。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。』
と書いてあった。
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