第22話 エルフパーティーとドラゴン
そして全員がパワー15万前後ある。
普通ならそれくらいあればこっちが負けそうなものだが、職業がいけない。
魔法剣士×2、魔法使い、神官、精霊使い、という魔法重視な編成なのだ。
俺は相手のパーティーのステータスを確認する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:オスカー
職業:魔法剣士
レベル:73
推定パワー:165,943
生命力:2,995
マナ:4110
攻撃力:1,315
防御力:523
魔力:1448
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:アンドレア
職業:魔導剣士
レベル:71
推定パワー:149,358
生命力:2,854
マナ:3763
攻撃力:1,247
防御力:586
魔力:1321
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:フィリップ
職業:魔導士
レベル:66
推定パワー:156,654
生命力:1,242
マナ:7863
攻撃力:163
防御力:332
魔力:2533
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:ミレー
職業:魔導士
レベル:66
推定パワー:141,668
生命力:1,821
マナ:6220
攻撃力:225
防御力:433
魔力:2215
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:シュミット
職業:精霊使い
レベル:78
推定パワー:167,123
生命力:2,477
マナ:4684
攻撃力:533
防御力:541
魔力:2394
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
多分魔法で遠距離攻撃からバンバン強化して一気に畳みかける構成なんだろう。
そして俺のドラゴンのステータスと比べる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:―
職業:―
レベル:62
推定パワー:97,034
生命力:4,483
マナ:73
攻撃力:1,626
防御力:488
魔力:33
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
パワーにはかなりの差があるのに、魔法が使えない事を考えると俺のパーティーの戦力は圧倒的だ。俺が今まで連戦連勝を重ねて来た理由の一端がここにあった。
俺はせめて天野さんのパーティーが勝ってくれる事を願っていた。
しかし、ステータスから見るとその望みは絶望的だった。
アマテラスは当然勝ちを確信したニッコニコ顔でモニターを見てる。
————————————————————
エルフのパーティーが戦場を進んでいた。
彼らはデーモン種の執事の恰好をした神の使いとやらの指示でドラゴンの集団を討伐するために進んでいた。
本来エルフである彼らがデーモン種のいう事を信じるなんてあり得ない事態であった。しかし、彼らは心からそれをやらなければならないと理解したのである。
彼らにはこの戦いに置いて二つの情報が与えられていた。
相手が10体のドラゴンである事、そして魔法が使えない可能性が高い事。
「アンドレア、魔法も使えないのに僕たちでドラゴンを倒せるだろうか。」
「オスカー、君は何者よりも強く、その戦いは美しい。君が負けるなんてありえない事だよ。」
「ああ、ありがとうアンドレア、どうかこの僕に力を貸して欲しい。」
そして他のメンバーに振り向く。
「みんなも、僕を支えてくれ。僕にはみんなの力が必要なんだ!」
自身の肩を抱いて不安を口にするアンドレアにパーティーの全員が力強く頷く。
これはこのパーティーの一種の儀式であった。
お互いが信頼し合い、それを確かめ合う事で結束を強め一丸となって敵に立ち向かうための儀式。彼らはそうやって独特な世界を作り上げ、世界で最も強く、最も美しいパーティーとして名を馳せていた。
しかし、今回はかなり厳しい状況であった。
何せ自身が魔法と連携しながら戦う魔法剣士であり、さらに3人が魔法職なのだ。
何度か魔法を試して見たがダメだった。
力がただ抜けていくだけの様な、そんな感覚。
精霊使いのシュミットがどうにか手を光らせたが、それもすぐに雲散してしまった。
「こ、この世界には精霊すらいないのか?いったいどうやってこれだけの緑を?」
シュミットは改めてこの肥沃な大地を見渡す。
これだけの世界なのに木の精も風の精も応えてはくれない。
一通りの事を試してから、彼らは作戦について話し合った。
彼らはドラゴンを討伐した時を参考に話をしていた。
ドラゴンは強大である。巨体を使った前足や尻尾攻撃、魔法結界すら破壊するブレスに羽ばたきによる足止め。
その当時の戦いを思い出しながらできる事を話しあう。
だが、結論として彼らのとれる作戦の幅は非常に狭い物だった。
魔法職3人は後方から敵をできるだけひきつけ、前衛二人が一体ずつ敵を倒していく。そして自身の安全が最優先というだけだった。
なぜ神が彼らをこんな世界へ連れて来たのか、この戦いにどんな意味があるのか、改めてその意図は謎であった。
だが成し遂げなければならない。彼らの名誉と自尊心にかけて。
そして遂にドラゴン達が見えて来た。
人をも一飲みできそうな獰猛な顔つきと想定以上のスピードで迫る多数の巨体。空から舞い下りるドラゴンとはまた違った迫力があった。
「あれがドラゴン?なんだあのスピードは!?」
魔導士のミレーが驚愕する。巨体は遅い、そんな思い込みがあったのだ。
「正面で当たってはダメだ!フィリップとシュミットは僕とこっちへ!アンドレアとミレーはあちらへ!どうにか最初の突撃をやり過ごすんだ!奴らの足が止まったところを狙う!」
「判った!オスカー!」
5人はあっという間に分断され、3体ずつで突撃してくるドラゴン達をやり過ごそうと待ち構える。
地響きが近づいてくる。視界が遮られる様な感覚に距離感が狂わされそうだ。
「走れー!」
オスカーの掛け声と共に5人が二手に走り出す。
5人はあえて相手に突っ込み、相対速度を上げる事でドラゴンの方向転換のタイミングをずらす事でどうにか逃れる。
しかし、9体のドラゴンが走り抜けた目の前に更に2体のドラゴンが走り寄って来ていた。
「だ、第二波だって!?」
ここであの2体を迎え撃ってはいけない。
止まっている所を攻撃しなければあの巨体に吹っ飛ばされるだけだ。
オスカーは瞬時に判断すると全員に号令をかける。
「みんな!やり過ごしたドラゴン達に向かって走るんだ!」
そう言って走り抜けてスピードを落としているドラゴン達に向かって駆け出す。
後ろからはドラゴン2体が彼らを噛み砕こうと頭を下ろして迫って来ていた。
「フィリィーップ!!走れ!走るんだ!!」
その声にオスカーが振り向くとフィリップが2体に両手を広げ立っていた。
「オスカー、私の事はいい!止まるな!どうにか命を拾うんだ!!」
そのフィリップの決意の籠った声に、4人は走り続ける。
フィリップは2体の注意を集めたのを確認して右に走り出す。
それに釣られて2体もそちらへと方向を変えた。
「フィリーップ!」
2体の陰に隠れて見えなくなったフィリップにオスカーが叫ぶ。
「っく、どうか、どうか君も生き延びてくれ。」
そういってオスカーは剣を構えなおし、目前で方向転換をし始めたドラゴン達に向かって突撃を開始した。
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