第21話 俺、破滅フラグが立つ
俺は早速家に帰り、アマテラスに
「これがあれば!文明が興る!!」
「本当ですか!?さすが国之さま!!」
早速アマテラスがイベ書を取り込み、北側にある一番大きい大陸で発動する。
画面上で大陸全体が光った。
しかし何も起こらなかった。
いや、まぁまだ使ったばっかだしね。
俺が学校に行くと増田が俺の顔を見て話しかけてくる。
「なんかいい事あったのか?」
どうやら俺は顔がほころんでたらしい。
「いや~どうにか俺のワールドも進展しそうでさ!」
「そうなのか、それは良かったな。早くデュエルできる様になれよ。」
「おう、そうだな。」
そこで増田が思い出した様に話題を変える。
「そう言えばさ、昨日言ってたプレイヤーの名前割れたんだわ。」
「え!?マジで?」
「なんかローマ字でKuniyukiTunetaっていう奴らしいぞ?」
げげ、遂に年貢の納め時か。
いや、でも流石に罪悪感でもあったのかそのままでは出さなかったみたいだな。
まぁいい、家に帰れば何か進展があるはず!
なくても情報が拡散するまで数日は持つはずだ。
とにかく稼ぎまくって体制を整えられるだけのガチャを引くんだ。
バイト代もあるしな!
「でもさぁ、探してもこんなプレイヤーいないんだよな。もしかしてこれって全バレ防ぐためで、漢字に直すのかな?」
おいぃぃ、増田ぁ、お前こんな時にお勉強できる力量見せつけてんじゃねぇぞ。
俺は
「特殊なワールドだし、で、できるだけネットワークから外してる、とか?」
「何のためだよ?別に両方からの承認が無いと対戦できないんだぜ?」
知るかよ!お前頭いいんだからその線で理由考えろよ!
「これさぁ、漢字に直すと国之常立って書けそうだけど、お前じゃないよね?」
「!!!んまさか、まさか!俺なわけないだろぅお。てか漢字ならどっちかっていうと国行常太って感じだら?なんで『た』が『立』の字使うんだお。大体俺はぁ、格好いい英雄パーテー作りたいに、魔法使えないドラゴンばっかの世界なんて作るわけねだろ。そうだろ?」
ダメだ、喋れば喋る程怪しくなっていく。
増田がなんとなく訝し気な目で見ている。
「あ、そうだ!そんなに疑うならお互いにエージェントを見せ合おうぜ!俺お前がどんなエージェントにしてるのかすげぇ気になってるんだわ。」
「・・・そのうち、な。」
俺は難局を乗り切った。
もうなんていうか全てが時間の問題だわ。
俺だけ違う世界でやってるとか誰にも知られたくないわ。
学校が終わり、俺は期待に胸を膨らませて家に帰り、アマテラスに状況を確認する。
「あ、国之さまお帰り~。今日は本当に危なかったよ。でっかいネズミみたいなのが来てね、ドラゴンちゃんの卵盗ろうとして、慌てて
褒めて褒めてという感じでアマテラスが話かけるので、俺は頭を撫でてやった。
「おう、それは良かったな。それで、村くらいはできたか?」
率直に聞きたかった事を質問する俺からアマテラスは目線を外す。
そ、それは、やはりなのか?
それとも、俺を驚かせようと引っ張ってるのか?
そうなのか!?期待させてくれ!!
ゴクリ
俺が返事を待っていると。
「き、今日は~、まだちょっとぉ、調子悪い、かなぁ?」
舌を出して頭を掻いて良く解らないいいわけをしている。
俺は一瞬で気が抜けて全身でため息をつく。
「だはぁ、そうか。いままでだってなんの兆候もなかったもんな。」
そう言う事もあり得るとは思っていたが、俺はがっかりして肩を落とす。
「なんかちょっとだけでも変化なかった?」
「ん~、それが、全然だよ。しかもね、ちょっと処理量が多くなりすぎて進められる時代も一日500万年位になってるんだよ。」
アマテラスは申し訳なさそうに教えてくれる。
「え?時代ってどんどん進められるんじゃないの?」
「そうなんだけど、メントロピー?なんかそんなので段々複雑さというか、そういうもので演算量が増えて進められる時間が減るんだよ。」
そうだったのか。でも複雑になってるって事は多少は期待できるって事なのかな?
なんにしても気長に待つしかないな。
申し訳なさそうなアマテラスに俺も申し訳ない気持ちになる。
「まあ、アマテラスのせいじゃ無いし、仕方ないわ。」
そう言ってアマテラスの頭をポンポンと叩く。
「じゃぁ今日もまたデュエル頼むわ。」
「は~い!じゃ、また適当に選んじゃうね!」
俺も適当な返事を返して部屋着に着替える。
あ、そういやビタミンドリンクあったな。
俺はキッチンの冷蔵庫からドリンクを取り出して晩御飯替わりに飲み始めた。
「あ、国之さま、始まるよ~。」
「ほーい。ん?ぶふぁ!ゲハッ、ゲハッ!」
「わ!ばっちいよ!国之さま!!」
俺は何度もモニタを見直した。
対戦相手の名前がTELmeAmano《てるみあまの》だったのだ。
こ、これって・・・天野さん?
いや、まてまて、落ち着こう。別に珍しい名前ってわけじゃない・・・よな?
だが万が一ってこともある。確か彼女はランクが2億台。
俺は相手のランクを確認する。・・・2億7千万、か。
いやー、俺っていつの間にこんなにランク上がってたんだ?
確か昨日はまだ4億台後半だった様な?うん、だよな。
当たるにしてはランク差がありすぎる。
もしかして、ネット情報で探し出して対戦申し込んで来た、とか・・・?
ありえ過ぎて俺の背中を冷たいものが流れる。
でも俺だと確定するわけない・・・いやいや、これは希望的観測で死亡するパターンだ。漢字まで探し出してるんだぞ?というかこれもうバレてる前提で動かないとダメだろ!?
不味い。なんか不味いぞ!俺のワールドが知られてしまう!?
こんな野性味あふれるパーティーで乱獲してたとか知られたくない。
マズイマズイマズイマズイ!
ダメだ、頭の中がぐちゃぐちゃで考えがまとまらなくなる。
止めないと!このデュエル止めないとぉぉ!
「アマテラス!!緊急事態だ!」
「ど、どうしたの、国之さま!?」
「これ、俺の知り合い、ってか戦っちゃダメな人だわ!すまんが止めてくれ!」
「え?ええ!?国之さま、もうデュエル始まっちゃったし、止められないよ!?」
マ、マジか!?
始まってまだ敵とは接触していない。
今ならまだ間に合う。
「何とかできないのか?わざと負けるとかでもいいんだが!?」
「一回サーバに入っちゃったらこっちの意志とは関係なしにデュエルは進む様になってるから。スキップはできるけど、降伏はできないんだよね。」
なんてこった。
俺がモニターを見ると遂にドラゴン達が敵と遭遇していた。
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