第15話 俺、遂に魔法世界で戦う

引いたガチャは殆どCコモンだった。

そりゃまぁ出現率的には当然そうなるんだが。

その中から俺は使えそうなものをピックアップしてみた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

C:強さへの渇望

ユニット一体が強さへの強烈な渇望をいだく


C:新技の閃き

新しい技を閃く


C:病魔からの生還

難病から奇跡的に生還する。


UCアンコモン:後継の育成

対象パーティーの後継パーティーが育つ


UC:強敵の出現

対象パーティーが思わぬ強敵に遭遇する


Rレア:目覚めの変質

ユニット一体が新たな力に覚醒する


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


それ以外にも色々とあったんだが、今のマナも無いドラゴンだけの世界では使えなそうなので、それらはとっておく事にした。


で、ここで特に目を引いたのが後継の育成だ。

俺のパーティーの対戦相手は徐々にパワーが上がっており、早晩追いつかれるはずだ。なので今できる事をやってできるだけパワーを上げておきたいと思ったのだ。


という事で、俺はとにかく強くなりそうなイベを突っ込んで様子を見る事にした。


「アマテラス、『後継の育成』とその後継に『強さへの渇望』と『不思議な出会い』を使ってくれ。あとヤバい時は適当に助ける系のCコモンカードを使って助けてやって欲しいんだ。」


「なんか曖昧な指示だけど、なんとか頑張るよ!まずは『後継の育成』を使うね!何か結果が出たら教えるよ。」


そう言いながらアマテラスは『後継の育成』のイベ書を選択して発動させる。

それは俺のご贔屓パーティーを一瞬光らせて消えた。


「おう、頼んだぜ。あとは今日、一回だけ相手のワールドで戦いたいと思うんだ。できれば格下で探してくれないかな。」

今、俺は自分のフィールドで戦ってくれる相手のみと戦っているが、これもすぐに限界が来るはずだ。なので、今の状態でどんな感じなのかを知っておきたいのだ。


「うん、ちょっと待ってね!」

アマテラスは対戦相手をフィルターして該当する相手を探し出す。

「こんな人どうかな?」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

プレイヤー名:大吉

プレイヤーランク:834,278,561

戦績:58%

開拓レベル:15

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


って、いやちょっと待ってくれ。

大吉って一番最初にやってクレーム来たヤツじゃん。

多分負けるけど、これ勝っちゃったらクレーム来るじゃん。


「アマテラス、大吉はやめてくれ。」

まぁそれ以外にも似たようなクレームメールをくれた人は除外する様にお願いする。


「残念。知り合いならやりやすいかなと。」

「いや、クレームメールもらっても知り合いにはならないぞ。」

「うーん、じゃ、この人はどうかな?」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

プレイヤー名:小吉

プレイヤーランク:724,929,983

戦績:73%

開拓レベル:18

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


今度は小吉かよ。

もしかして大吉の兄弟なんじゃないのか?

しかし、小吉の方が明らかにレベルが高いな・・・。


今の俺はプレイヤーランクが622,995,986だ。

俺に有利なワールドだけで戦闘を重ねた結果なので正直俺のランクは当てにならない。しかも戦績が73%は結構強い。まぁ俺は無駄に100%なんだが・・・


なんにしても次の世代を探すためには目安が必要だ。

魔法の使える世界での戦闘を参考に次の世代の選定が考えられるはずだ。


俺はしばらく考えて小吉に戦いを挑む事にした。

「オッケー、アマテラス。この小吉で頼むわ。」

「はい、それじゃ早速対戦を挑みますね!」


アマテラスは元気に返事をして対戦承認をする。

そうして遂に相手側のワールドでの戦いが始まった。


表示されたフィールドはこちらと同じ平地だった。

俺はアマテラスに作戦を伝える。

そう、実はデュエルの際に簡単に作戦を伝える事ができたのだ。


デュエルは基本的にお互いの詳細情報が得られない。つまり遭遇した時に戦い方を決めて対応する必要がある。

特にパーティー戦の場合、人数が少ないのであまり作戦は効果がないのだが、オレのパーティーは13体のドラゴンだ。作戦が効果を発揮する可能性があるのだ。


まぁドラゴンはそんなに頭は良くないので、簡単なものだけなんだが。


「やっほー、みんな!」

アマテラスが元気よく挨拶すると、ドラゴン達が返事をする様に遠吠えをする。


「よし!気合十分だね!今日は敵が強いから私の指示に従ってスタートだよ!」

そう言うと、アマテラスはドラゴンを3体毎に分け、それを三組広げて相手側に送り出す。


そして、最後に残った4体を少し遅らせてからスタートさせた。

「みんなー!位置関係はそのままで前進、敵を見つけたらできるだけ後ろから攻撃だよ!頑張っておいでー!」


それからアマテラスは画面の外に出てくる。

「国之さまー、言われた通り、みんなを分けて行かせたよ!」

「おう、サンキュー。」


俺の作戦は単純で、魔法攻撃を分散させるために広げて突撃させた、という所だ。

何せ魔法を使うには少しタイムラグがある。意識の集中と詠唱、そして発動だ。

そのタイムラグを活かして数で押しつぶす、という作戦だ。

そして中央は一番に攻撃を喰らうはずなので、後衛を用意した。


ドラゴン達は言われた通りの隊列で結構なスピードで直進して行く。

俺は相手との遭遇を目を凝らして待った。


————————————————————


一方小吉陣営


四人の男がキョロキョロと周りを見渡していた。

「おい、ここはどこだ?さっきまで町で買い物してたのに。」

「というかなんで四人そろってんだ?今日は自由行動日だってのに。」


1人の男が空に浮かんでいる人物を見つけて言う。

「その答えはどうやらあのマッパのネーチャンが知ってそうだぞ。」


その言葉に反応してその人物は反論する。

「マッパじゃない!ちゃんと隠してるから!!」


顔を真っ赤にして反論しているが、その言葉は殆ど説得力を持たなかった。

何せ身に着けているのはマイクロビキニだ。

しかもそれを手で隠しているのでなんか何も着ていないように見えるのだ。


彼女を見つけた男がそれに異議を唱える。

「いや、説得力ないっていうか、どっちにしてもほぼマッパじゃん。」

その言葉に彼女はさらに顔を真っ赤にして空中で体を隠す様にしゃがみこむ。

(はわわぁぁ。恥ずかしいよぅ。そ、創造主さまの為にも、どうにか説明だけでもしないと。が、ががががんばれ私。)


「わわわ、わたしは、創造主さまより、こ、この世界を任された、めめ、女神アフロティーネ。」

「アフロティーネ様ー!女神ならもっと胸を張れー!」

下からはやし立てる声がする。


その声にさらに羞恥心で小さくなり、眩暈がしてくるアフロティーネ。

頭の中にはそんな彼女の姿を喜んでいる創造主、小吉の大喜びな顔が浮かんでくる。

(うわーん!恥ずかしいよおおお!創造主さまのバカバカ!)


「う、うるさい!あな、あなたたちは、創造主さまにえ、選ばれたのよ!あちらの方に行くとこの世界の敵がいます!そいつらを職滅してきなさい!!」


男の一人が舌なめずりをしてから口を開く。

「へ~え、そいつらを倒したら女神様をじっくり拝めるってのかい?」


アフロティーネに髪が逆立つほどの悪寒が走る。

(ひいいいぃぃ。毎回毎回!こいつら下品でいやあぁぁ!)

「なんだっていいわよ!!とっとと行きなさい!」

相変わらずの屈み姿勢でアフロティーネは相手の居る方向を指さす。


その言葉に男たちが沸き立つ。リーダー格の男が他の3人に声をかける。

「オッシャー!お前ら、気合い入れていくぞ!」

「「「オー!!!」」」


アフロティーネは歩いて行った男共にアッカンベーをして見送る。

(どーぜ、終わったらあんたたちなんて消えちゃうんだから!ベーだ。)

そうして自分の変態創造主の所に帰っていくのだった。

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