第14話 俺、世界を創る者
ガスパルのステータスは正直さしたるものでもなかった。
いや、強い部類には入る。だが、この数値自体は他のパーティーでもちょくちょく目にしていた程度のものだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:ガスパル
職業:ウィザード
レベル:76
推定パワー:44,200
生命力:1,422
マナ:2,254
攻撃力:183
防御力:328
魔力:1,223
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
因みに俺のドラゴンパーティーの最強ユニットはこんな感じだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前:ドラゴン
職業:ー
レベル:83
推定パワー:47,891
生命力:3,828
マナ:25
攻撃力:923
防御力:311
魔力:13
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
むしろ、そろそろドラゴンと対等なパワーに近いユニットすら出現している。
しかし、今の所、全て結果は圧勝であった。
その要因は当然魔法が使えない事だ。特に魔法使い系の職業はマナや魔力がパワーに考慮されているにも関わらず魔法が使えない。その時点で実質パワーは割り引かれた数字になっているのである。
もう一つがそれに対してのドラゴンの圧倒的攻撃力である。
俺のドラゴン達は圧倒的攻撃力特化である。
何故か少々のマナ値と魔力を持っているが微々たるものだ。
なので純粋に、推定パワー=強さ、となる。
しかし、他のワールドのユニットは大なり小なりマナと魔力を持っており、割引が存在する。それに加え、確証はないのだが、どうもそれでなくても数値程の強さは無い様に感じる。
最後が数の差だ。
圧倒的パワーのドラゴン三体に囲まれたらいかに屈強な戦士でも、その重圧に耐えられず、どこかでスキができてダメージを喰らう。そうなってしまったら最後、あとは転げ落ちるだけだ。
ドラゴンは剣などでダメージは入るのだが、肉厚なのと骨太な上、それなりに機敏でなかなか致命傷にならないのである。
因みに最長戦闘記録はある勇者の23分だ。
そんな中、遂にドラゴンが一体倒された。しかも魔法でだ。
あのウィザードはマナの無い世界で魔法を使う術を知っていた。
それはつまり俺のワールドでも魔法が使えるという嬉しい情報と、今後は俺のワールドでも魔法を使う敵が出てくる可能性がある、という事だ。
つまり、俺はもっとドラゴンを強くなる様に俺のワールドを育てなければいけないという事だ。
俺はイベントポイントを確認する。荒稼ぎの結果、50600ポイントもあった。
「アマテラス、イベガチャを頼む!」
「よーし!気合入れていくよ!!国之さま、何回いっちゃう!?」
「まずは―」
俺は10と言いかけて止めた。そうだった、あのコアを割る作業全部見るんだった。
「まずは様子見で1回頼む。」
キリッとした顔で俺は様子見を強調した。
「え~、こんなにポイントあるんだし10回くらいいっちゃおうよ!」
もっともだ!もっともなんだが!アマテラスがガチャ引く姿可愛いんだが!
10回はまってらんないわ。スマン。
「アマテラス、一番最初は肝心だ。まずはここで幸先を占って、それから心新たに引く回数を決めたい。頼むぞ!」
俺はなんかそれっぽくアマテラスを激励してみた。
「わかったよ国之さま!!私に任せて!!」
アマテラスもキリリと返す・・・なんか罪悪感。
アマテラスが出て来たガチャ筐体をガリガリと回す。
ガチャからコアが転がり出て空中に浮きあがる。
アマテラスがどこから出したのか金のハンマーを大きく振りかぶって、コアを上から叩き割った。
それが終わるとアマテラスは一回転してから両手をイベ書が浮いている空間に向けて、手の平をひらひらと動かして決め台詞らしきものを口にする。
「じゃーん!やったね国之さま。これが今回の結果だよ!」
結果は!
これはターゲットのユニットがより強さを求めて行動を起こすというイベだ。
これならドラゴンでも普通に使えそうだな。
「あ~、Cだったよ。ごめんなさい国之さま~。」
正常に戻ったのか結果を見て凄くガッカリしているアマテラス。
さっき凄く嬉しそうにやったねって言ってたのに、ギャップが凄くて可笑しい。
「いいってことよ、アマテラスは頑張った!じゃ、追加で10回頼むわ。」
俺はサムアップして本命の依頼を言い渡した。これで演出スキップできるぜ。
俺の言葉にアマテラスが「え?」って顔になる。
「いいの?てっきり結果が悪かったら明日にするのかと。」
「いや、アマテラスを見て俺も気合が入ったぜ!」
うむ、シナリオ通りだな。
「よ~し!じゃぁ頑張っちゃうんだから!!」
ガッツポーズをするアマテラスに俺の胸がキュンとなる。
いや、罪悪感からくる胸の痛みかもしれん。
アマテラスが連続でガチャを回し、次々とコアが出てくる。
そして、アマテラスが金のハンマーでたたき始めたので、俺はスキップボタンを押そうとした。
あれ?アマテラスさん、なんか睨んでます?心なしか手も止まってる様な・・・
「お、押さないよ?」
「じ~。」
俺は両手を上げて無抵抗のポーズをとると、ようやくアマテラスが続きのコアを割り始めた。てかプログラミングされた規定動作じゃなかったのか!?
なんか「やったね!」とか言ってるのに目が座ってる気がする。
「国之さま~、スキップしようとしませんでした?」
全てのコアを割り終わった後、アマテラスがジト目で俺を覗き込んで詰め寄る。
「いや~、押そうとしたらどうなるのかな~なんて思って・・・ないよ?」
静寂が・・・
「ひどい!せっかく一つ一つ心を込めて割ってたのにぃ~。」
アマテラスはどこから出したのか、ハンカチを口で引っ張ってくやしさをアピールしはじめた。
「すまん!悪かった!全部見る!これからも全部見るから!」
「ホントに?」
ゴハァ!そんなうるんだ瞳で見上げられたら絶対断れないよね。
「見る見る、アマテラスさんの全てを見させて頂きます!」
いやなんだ全てをって。なんか恥ずかしい事言った気がするぞ。
「いや~、そこまで言われると照れちゃうなぁ。じゃ、ちょっとだけ見る?」
そう言ってアマテラスがなんかムネの前止めを握る。
ってそういう意味じゃないんだけど!?でもそんな事出来るわけ!?
「え!?見れんの!?」
思わす俺の本音が漏れ出る。
「やだなあ。そんな機能ないよ~。」
「ないのかよ!!!」
俺はのけぞって頭を抱えた。
「国之さま、期待してたの?」
少し軽蔑の入った眼差しを感じる。
「いやいやいや、んなわけないでしょ!そんな機能あるの?と思ってちょっとビックリしただけだから!見たいとかそんなんじゃないから!」
くっそーR15に期待した俺が恥ずかしい。俺は顔を覆った。
ふぅ。
俺は
俺の心を揺らすのは、
さあ、
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