第11話 俺、ようやくまともな情報を得る
俺は学校に着くと増田を探し出して話しかけた。
「なぁ、増田。お前イベガチャってどんなタイミングで使ってるんだ?」
「あ~イベガチャな。あれって使うタイミング難しいよな。CとかUCは気に入ったユニットが出て来た時とか、いざと言う時に使ってるかな。」
「気に入ったユニット出たら一気に使うのか?」
「まぁユニットの状況によるかな。というかお前創り始めたのか?」
「まあな。まだ始まったばっかでどうすればいいのか全然判らないんだわ。」
マナが入ってないとか変なドラゴンばっかとか、他の人と違い過ぎてこれからも全く判らなそうなんだけど。
「そうなのか、今持ってるイベのリスト見せてみろよ。」
俺はリストを端末に書き出して増田に見せる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
C:危機一髪
C:偶然の勝利
C:夢のおつげ
UC:不思議な出会い
R:伝説の防具
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あれ?噂の『神の怒り』は?」
増田はリストを見て気づいた様に俺に言う。
煩いやつだ。俺は黙ってリストに『神の怒り』を追加した。
「まぁまだ大したイベはないな。判りやすいのは『危機一髪』と『偶然の勝利』かな。ダンジョンとかで格上の敵と戦ってる時に使うと効果抜群だからな。」
「ちょっと待ってくれ、そのタイミングってどうやって遭遇するんだ?」
増田はちょっと驚いた様な顔でこちらを見る。俺なんか変な事聞いたのか?
「そんなのエージェントに頼めばそういうタイミングを見て使ってくれるぞ。あるいはそういうタイミングでスローストップで止めといてもらうか。」
アマテラスさん、君には大切な仕事があったよ・・・。
因みにスローストップというのは一時間だけ時間経過を極限まで遅くすることができるらしい。逆にワールドの時間進行を全く止めるということはできないらしい。
初めて知ったわ。
「あとこの不思議な出会いっていうのは普段人がいない様な所で使うと良いぞ。データがあるわけじゃないがかなり意外な出会いが起こる事あるから。」
「いったいどんな出会いが起こるんだ?」
そうだな、と言って増田はいくつかの例を教えてくれた。
例えば伝説の武器がある様なダンジョンで使うと敵国のライバルとばったり遭遇したとか、夜の街で使ったら闇商人の取引現場に遭遇とか。あとは
なるほど。それとどうやら増田は気に入ったパーティーなんかを見つけるととにかくそいつらを強くするためにイベガチャを使うらしい。俺なんてパーティーメンバーの顔も見分けられないから思い入れ持ちにくいんだよな。
放課後、俺はガチャを引いて帰る事にした。
増田は今日は用があるとかで学校を出た所で別れた。
ガチャ筐体の近くには何人かの人影があった。正直誰もいなくなった時に引きたかったが、さっさと帰りたかったのでそのまま近づいていく。
が、その判断は間違いだった様だ。そこに居たのは
取り巻きの癖になんか羽部八に負けず劣らず偉そうな奴らだ。
それと
まさかこんな所で会えるとは!!
ラッキーとアンラッキーの同居。なんで羽部八と!?
因みに渦目さんはかなりショートカットのスポーツ万能少女。顔もキリっとした二枚目で、それなりの男子と一部の女子から結構な人気の子だ。性格もそのままかなり姉御な感じで天野さんとは結構気が合うらしい。
かく言う俺も天野さんの次に好きだ。
いや、浮気とかそんなんじゃないからな?
「あ、国立君もガチャしにきたの?」
天野さんの屈託ない笑顔がまぶしい。
「天野さん、渦目さんこんにちは。」
「おいおい、ご挨拶だな。僕たちは無視かい?」
できればそれで通したかったが仕方ない。
「よう。羽部八も一緒だったんだ?」
「そうそう、たまたま会ったんだよね。」
「まぁ僕にとってリアルガチャは日課みたいなものだからね。」
っほ、そうだったんだな。
「そうだったんだ。何かいいの出た?」
「よくぞ聞いてくれた。ちょうど今
うん、お前には聞いてない、が羨ましい。俺のワールドに国は無いけどな。
「羨ましいよね。私は二回引いて
天野さんって妬みとかなさそうだよな。まぁRが二個なら良いよな。
とか考えてると羽部八が先に天野さんに話し始める。
「いやいや、師匠との出会いは良いよ。かなりユニットが強くなるからね。」
「そうなんだ。それは期待だね~。」
「天野さん良かったね!」
俺は無難な相槌を打つ。ぐぬぬ、イベガチャ知識を使った接近戦とは許せん!
俺はひとまず心を落ち着かせてガチャを回す事にした。
いいのを出して話題を総取りするためである。
羽部八に目に物を見せてやるぜ!
因みにリアルガチャはスコアで購入するため出現率が
俺は羽部八の回していない筐体でガチャを回す。
俺が振り返るとみんなが期待を込めて俺を見ていた。
何この想定以上の注目度。
カラン
音がして俺が再度筐体を見ると、そこには無残にもCのケースが鎮座していた。
無慈悲!!
俺は膝を着きそうな気持をどうにか持ちこたえ、平静を装ってケースを取り出す。
「君、この前はSRだったのに、今回はCとは低出現率を引く天才だね!」
羽部八が笑顔でディスってくると取り巻きも笑い出した。
「うっせ!」
俺は恥ずかしさで顔が赤くなってるのを感じながらケースを仕舞おうとした。
「あ、国立君、折角だから中見せてよ。」
天野さんの声に俺がケースを持ったまま固まってると羽部八が口を挟む。
「ぷっ、天野君、折角ってCだよ?僕は興味も無いし行かせてもらうよ。じゃ。」
くっそ、どこまでも嫌な奴め。
笑いながら立ち去って行く羽部八を苦々しい顔で見送りながら俺はケースを開けた。
中から出て来たのは『マスコットとの出会い』だった。
多分効果は名前そのままなやつだ。
とは言えマスコット?ドラゴンにマスコットってどんなのが付くんだ?
よくそら飛んでるあのデカい昆虫とかか?可愛くねぇ・・・。
俺が説明書を手に疑問符たくさんの顔をしていると勢い込んだ声が聞こえた。
「それとっかえて!!」
ビックリして顔を向けると渦目さんが両肩を掴んで来た。
「ちょ、え?いや、別にー」
俺がしどろもどろに応えようとしていると天野さんが割って入ってくる。
「あ、ウズウズずるいよー。私も欲しい!」
「へっへー、私が先に声かけたもんね。」
「え?え?え?」
なんかいきなりちやほやされ始めた感あって照れるなー。
って、そんな場合じゃないわ。
これどうすればいいんだ?いやぶっちゃけ天野さんに譲りたいが先に声を出したのは渦目さんだ。ここでじゃあ天野さんに、ってやったらどう考えても不公平だし、そんなことしたら逆に天野さんからの評価も落ちそうだ。
だからと言って先に声かけて来た渦目さんに、ってなっても天野さんの俺の評価はあがる事はない。むしろ俺が別の人好き論を強化するだけかもしれない。いや、最悪俺の好きな人は渦目さんという事になりかねない。
いや、彼女いない歴年齢の俺はもちろん渦目さんだって構わない。って別にこれで付き合えるわけじゃないし、そんな勘違いされたら実は天野さんが好きですなんて展開受け入れられないだろう。誰だ無用な心配とか思ったヤツ!?
なにか、なにか良い方法を考えるんだ俺!
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