第3話 俺、エージェントを作り上げる
世界の選択を終えると次はエージェントの設定だった。
→エージェントタイプを選択してください
・・・そう言えばエージェントって友達に見せてもらった事ないぞ?
もちろんあるのは知っていた。ネットなんかでもエージェント自慢的な画像サイトがあったりする。結構凝ったメイキングができるので色々と楽しそうだったのだ。
が、俺は友達のエージェントを見せてもらった事が無い。
まぁいい、俺は説明書を確認する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
エージェントとは?
エージェントはあなたと世界を繋げるための交信手段です。神であるあなたの御使いとして世界に干渉します。また、このシステムのヘルパーも務めます。詳細はエージェントに確認してください。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
なるほどなるほど。
俺の指示をこの御使いを通して世界に届けるんだな。
先ずは名前な。
名前は既に決めてある。
学校で俺の好きな子の名前、
で、エージェントの種類はっと。
俺は画面の種族選択ボタンを押してみる。
するとかなり膨大な選択肢が表示された。
人間、エルフ、ドワーフとかは解る。それに加えて天使、悪魔、獣人種、果てはオークとかゴブリンまである。
オークやゴブリン選ぶってかなり特殊な嗜好の人だよね。
そして性別。これも男性と女性だけではなく色々な組み合わせで選択可能だ。
・・・いったいどういった需要なんだ。いや、深くは考えまい。
続いて年代。種族の寿命差を考慮してか幼年期、少年期、若年期、中年期、老年期まで大体の年齢層で選べる様になっている。
最後に性格。これもかなりのバリエーションだ。色々な組み合わせで好みの性格を作れるらしい。因みにツンデレの例とかはこんな感じだった。
ツンデレ:高飛車、天邪鬼、寂しがり屋、甘えん坊
あと王道ってのもあった。
王道:陰キャ、世話焼き、天然、人見知り
ヒロインの王道って陰キャだったのか!?
いや、なんか色々と言いたい組み合わせだぞ?製作者出てこい!
俺はさんざん迷った挙句、ちょっと日和って無難な選択をしてしまった。
エージェント名:アマテラス
種族:人間型
性別:女性
年代:少女期
性格:活発、天然、前向き、甘え上手
いや無難な選択をしたつもりだった。
まぁ、それはひとまず置いといて、続けて俺はデザインメイキングに移った。
顔の好みはもちろんこれも迷いはない。
出来上がった顔を一言で言えば、童顔系の可愛い系のキツめ系だ。
え、判らない?輪郭が少し幼さを残しているがシュッとした感じで、目が大きめでちょっとだけ釣り目で、鼻は小さめで唇は薄目だ。
因みに眉毛は気持ち太目で元気ありそうな感じを演出している。
で、髪は薄い赤色。髪型はポニーテールにした。ポニーテールっていいよね、これまたすごく元気な女の子の印象あるわ。
いやー俺根暗だけど元気な子に魅かれるんだよね。
元気な女の子に引っ張りまわされるトラブル人生とか憧れるぜ。
え?聞いてないって?
続けて身体と服装の作成に入った時に悟った。
なぜ誰も俺にエージェントを見せてくれなかったのか俺的にスゴーく理解した。
まぁね、俺ら
気持ちは凄く解るよ。解りすぎるよ。多分あいつらのエージェントは死ぬ前にメモリーメディアと一緒に処分してもらう類のものだわ。
いや、別にね、所詮R15ですからね?限界はありますよ?限界は。
まぁでもぶっちゃけこれR15の限界まで行っちゃってるよね?
誰だこのいたいけな少年達に無駄な罪を犯させる仕様にしたヤツ。
って、俺は何を選んでるんだ!?流石にこんなビキニドレスみたいなの選んだら俺もあいつらの仲間入りだわ!
確か後で衣装を変更する場合は追加購入が必要だったはずだ。
しかも3000スコア位したはずで俺ならガチャ回しに行くよね。
多分あいつらもそれで・・・
自制だ自制!
こっちの神代和装とかいうのにしよう。
ちょっと色気は無いがなかなか神々しいしこれでいいだろ。
よし、これで次へっと。
ポチッ
するとさっき作ったエージェントがモニターから20cm位の立体映像で表示された。
「ようこそワールドクリエイターへ!創造主、
おお!?早速動き始めるのか。
エージェント、いやアマテラスはまじまじと自分を観察し始めた。
「ちょっと国之さま!?」
アマテラスがいきなり文句あり気に俺を呼んだ。
「お、おう。」
声上ずった。好みの顔の子に真正面切って話されると緊張するわ!
「なんか控え目すぎるんですけど!?」
「え?」
なに?俺の性格の話?・・・じゃないよね。まだ「おう」しか言ってないし。
「だ・か・ら!控え目すぎるんですけど!?」
は?なんか両手で胸をパンパン叩いてるんだが。
胸・・・胸が、控え目すぎってこと?そう言う事!?
登場一番始まる会話がそれからかよ!?
「ちょ、いや、いいでしょ!人それぞれこだわりがあるんだよ!」
なんか動揺して変な事言ってる気がするぞ?
「ふむ、これが国之さまの執着の帰結・・・」
「いや、まてまてまて、執着って程そこに執着ないわ!いや、そりゃ好みはあるけど、いや、大切なのはバランスで—」
ダメだ、なんの話してるんだ俺は。
机に肘をついて頭を押さえる俺を見てアマテラスは話を進める事にした様だ。
「まぁ、国之さまの胸への情熱はわかりました!男の子ですもんね!!それではそろそろ
いや、おまえは何も解ってない!
「さ、このスタートボタンを押したらコアから世界が誕生します!」
おお、いよいよか!
気を取り直して俺はスタートボタンを押す。
するとコアから光が溢れて粒子となって台座の中に消えていき、代わりに台座から黒い空間が広がり、その中で沢山の光が生まれ、消えてゆきながら流れて行く。
モニターには大量の文字が下から上に流れ、次々と何かが処理されているのが判る。
凄い!これが俺の世界!
とか浸ってるとアマテラスが何やら首をかしげている。
「どうしたアマテラス?」
「あの~、マナの粉は入れました?」
怪訝な顔でアマテラスが俺を見る。
俺の心臓が否応なく高まる。え?なに?そう言えば粉あったよね?
「いや、入れてないけど・・・」
「国之さま!急いで入れて!早く早くっ!!」
マジか!?それどこに書いて!?
いや、そんな場合じゃない!慌てて俺は袋を手に取り開く様に引っ張る。
な、なかなか堅い!
「ぬー!」
アマテラスがおろおろと俺の手とモニターを交互に見ている。
早く、早く開けぇぇ!!
と、袋を摘まんでる指に掛かっている力が軽くなる。
「あ、あい―」
その瞬間、袋は裏側が見える程広がり粉が四散した。
一瞬世界がスローモーションで動いている様に感じる。
ゆっくりと粉が雪の様に降っているのが見える。
アマテラスの口があんぐり開いてるのが見える。
いや、俺の口もかつてないくらい開いてるみたいだ・・・そりゃ、開くよね?
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