第2話 俺、世界創造に着手する
俺は家に帰ると早速部屋に籠る。
改めて
高級感のある白字に銀箔の文字。中央に丸い惑星と左右で向かい合ってにらみ合う様に色々な種族のキャラクターが描かれている。
これから俺の作るワールドでこれらの種族が、
色々とケチがついたが、改めてこれを手にしたときの高揚感が胸にこみあげてくる。
遂に手したコアセット、念願のコアセット、狂喜乱舞なコアセット。
もうね、この感動をどう表せば正しく表現できるのか皆目見当もつかないよね!
ふっ、ちょっとはしゃぎすぎたな。さて、お待ちかねパッケージオープン!
先ずはシュリンプを開封。ってなんだこの箱。どうやって開けるんだ?
左右の面を持って上下にゆすっても蓋が外れない。
上下の面が返しの様に四辺からはみ出てるので、蓋をずらそうと手を掛けると、少しクリック感があって上面が本の表紙みたいにパカリと開いた。
「うぉ!?」
なんだよ、そういう蓋かよ。思わず声が漏れたわ。
いやー、やっぱ高価なものは箱から違いますねっと。
ちょっと恥ずかしくて俺は頭の中で独り言を呟く。
上に載ってる説明書をどけると、遂にご対面!
友達なんかの持ってるのは既に世界構築されたやつだからコアを見るのは初めてだ。
上下に六角錐を繋げた様なコアが部屋の明かりを受けて深紅の光を放っている。
ゴクリ。
コアが嵌めてある白いケースから取り出す。
ええか?きぃ付けるんやでワイ?落としたら一発アウトやで?
・・・止めよう、これ絶対落とすパターンだ。
程よい重量感にガラスっぽいのに金属の様な感触。持ち上げている手が少し影の様にコアのあちら側に透けて見える。
内側では所々で光が回路をなぞる様に走っている。
なんて神々しいんだ。自分でも顔が緩んでるのが判りすぎる。
しばらくコアを無心で眺めて堪能してから俺はゆっくりと箱の上に戻し、先ほどの説明書を開いて読み始める。
「なになに、内容物を確認してください?」
箱の中にはコアとその台座がある。台座は円盤型で一か所にいくつかの摘まみとボタンが着いている。それと円盤の中央が窪んでいる。きっとコアを置く場所だ。
それらのケースを取り出すと更に下にモニターがあるらしい。
上段のケースを持ち上げると下から巻物の様な筒と粉の入った袋が出てくる。
袋の中には水色の不思議な粉が入っている。
これはマナの元と言ってワールド内で魔法を使うのに欠かせない成分らしい。
揮発性なので使う直前で使う事?揮発性とか、なんかヤバくないか?
巻物を取り出して観察すると、巻物にスリットがあり、薄いものがはみ出ている。
その少し飛び出ている縁を摘まんで引っ張るとそれこそ巻物の様にシュルシュルと回転する音をさせながら伸びて半透明のモニターが出てきた。
最近流行り始めたキャリータイプのモニターだがまだ馴染みが無いので実際に手に取ってみると不思議な感覚だ。筒の様な物に入っていたのに引き出すとちょっとだけカーブを描きながら普通に硬いモニターになっている。その透明な曲面に触れてみても普通のガラス面の様な手触りだ。
高さは大体25cm程度だが幅は60cm位ある。これは戦場等の状況を広く見るための小アセット特性のモニターらしい。オプションで部屋の壁程もあるモニターとかゴーグル型モニターなんていうのもあるらしい。いつか手に入れてみたいものだ。
内容物を確認したところで早速セットアップに入る。
「まずは台座をエナジーラインにつなぐ。で、コアを台座に立てると。」
机の右半分を片付けてスペースを作るとそこに台座を置き、エナジーラインを探すためのボタンを押す。すると台座に付いていた四角い窓に選択可能なエナジーラインが表示される。説明書に従って摘まみを回して自分の部屋のラインを選んで摘まみを押し込むと台座の縁が青く光る。
さらにコアを台座のへこみに立てて置くと、台座の上に置いたコアが少し浮き上がり、クルクルと回転を始めた。
おお、コアがより神秘的に!
思わず拝む俺。
「続いて、モニターを筒のまま上にあるボタンを押しっぱなしにして台座に近づけて同期するっと。あ、これ筒のままでセットするのか。」
俺はモニターを巻物の中に押し戻してから、頭に付いているボタンを押しっぱなしにして台座に近づける。すると、巻物が台座に引っ張られ、手を離すと縦になって浮き上がり、自動的にモニターが引っ張り出される。
「おお」と感嘆の声が漏れる。ホント一々声出るわ。
感動している俺を他所にモニターが自動的にオンになり、画面が表示される。
遂に俺が世界を創造する瞬間が始まったのだ。
どうやら初期設定は質問形式らしい。
結構質問数が多い。しかも意味が解らないものも結構ある。
→あなたの名前を入力してください
名前は自分の名前をもじって
→惑星タイプを選択してください。
この惑星タイプが一つの分岐点だ。7タイプあるのだが、この選択によって育つ生物の多様性や反映しやすい種や文明の発展しやすさなんかが変わってくるのだ。
とは言え実際には大陸と海の割合、惑星サイズ、大気の成分割合が違うだけとか知り合いが言ってたっけ。それだけで結構な差が出るらしい。
一応説明書の内容をザックリ説明するとこんな感じだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
荒廃した大地
過酷な世界。デーモン種やモンスターが強くなりやすく、そういった世界を作りたい人向け。もちろん人間も生まれるがかなり辺境地に点在する事になるらしい。デーモン種メインで世界構築するだけでなく、人種を上手く育てるとかなり強くなるらしいが、色々と要り様でぶっちゃけ金持ち向けだ。
緑の大地:
大地の多くが緑に覆われた世界。エルフ族が発展しやすいらしい。正直エルフには惹かれるが、エルフは秩序を重んじるため、なかなか大きな国を作ることができないらしく、かなり手間暇をかける必要があるらしい。まぁエルフ大好きでエルフだけで生きていける人向けだ。
生命の大地:
これは一種のバランス型らしい。人種がメインだが、他の種族もそれなりに居る、所謂物語世界を実現しやすいのがこのタイプだ。人種は文明構築が上手く、環境適応力が高いため、他種族に比べて変異個体の誕生割合が高い。
鉱物多き大地:
これは緑の大地とは逆で山と鉱脈の割合が多く、ドワーフ優位の世界らしい。ドワーフは発展するとかなり強い武器や便利な道具を作ることができるが魔法の発展が遅れるらしい。ドワーフは個人的には恰好良いと思うが、やっぱ添え物的存在だよな。
スマン、ドワーフ!
水多き大地:
これは大陸の割合が少なくてマーフォーク種が発展しやすいらしい。また大陸の他の種族間の交流が減るため文明発展が遅いとかなんとか。なんにせよマーフォーク種は海が主戦場なのであまり選ばれない。まぁちょっとマニアックな世界だ。
水の星:
全く大陸の無い世界らしい。マーフォーク文明のみが発展する趣味に特化した世界だ。俺の周りでは誰一人見たことがない。誰が選ぶんだ?
水無き大地:
正直普通の生物は誕生しないというか、思念体のみが生まれる世界らしい。なんか上手くやると無機生物が生まれるとかなんとか。正直これも見たことが無い。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は生命の大地を選択する。正直金があれば荒廃の大地を選択したい所だが、そんな余裕もない。それにあの金持ち羽部八は荒廃の大地らしいし、同じ土俵で勝てるはずもない。悲しいが俺の予算的にも選択肢の多い生命の大地に賭けるのが妥当だ。
で、お次は俺お待ちかね。エージェントのキャラメイキングだ。
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