第2話 ひとつだけ

 赤い街を抜けた、丘に僕と父の家がある。緑とつたの屋根の家が森に守られるようにしてたっている。

 僕は舗装されていない坂道を木の間を潜り走る。斜めがけ鞄の中には父に頼まれたものが入っている。真夏、僕は汗ひとつかいていない、黄色の髪が照らされることもない。枝が、日を遮っているから、涼しくて心地よい。冬は、氷付けにされるようなかんじだが。

 父は、森の手入れをしない。そのままが一番だろと。守ってくれると。木がなくても、自分達の身は守れるだろうに。

 僕と父は魔法をこっそり使うから。魔法を堂々と使えたなら、父は偉大な大魔法使いになっていたと思う。僕と違って。僕は、鏡に属した物しか使えない。ただ、ひとつそれだけだ。身を守ることに長けてる。ただ、それだけ。

 家までの道のりは険しい。ころばないようにしなきゃ。

 昔の魔女たちみたいに、箒で飛べたらどれだけ楽だろうか。魔女狩りを初めたいただきは今も、魔女をさがしている。血の魔女を。

 転ばぬように、気を付けていると影が動いた気がした。風も吹いてやしないのにな。

ひやりと背中に汗をかく。早く帰ろう。僕がそう言った。歩く速度をあげた。


 「ただいま」父の部屋を除くと原稿を散らかし机に突っ伏して寝ていた。締め切り大丈夫なのか?

 「父さん、父さん」体を軽く揺さぶる。起きる気配がない。困ったな。はやく昼を食べたい。より激しく揺さぶる。

 「あ、お帰り」右手を動かしそう言う。

「父さん僕もう、お腹空きすぎておかしくなりそうだからはやく作ってくれないかな。じゃないと僕が作るよ」

 父さんはいきなり、立ち上がった。なんでだ?「絶対に作るなよ。絶対にな!」

なんで?確かに僕の作る飯は不味いけどさー

2回も言わなくていいと思った。

 「父さん、2回も言わなくてよくない?」

ムッとした。 

 「メアリ、お前がご飯を作るとキッチンがダメになるからな」

もっと、ムッとした。

 「…」

二人の間を沈黙が流れる。

 「あー、メアリご飯作ってる間、書斎片付けていてくれないかな。片付け苦手だからさ」

 「父さんの片付け、壊滅級だもんね」

「そうか?」首をかしげて、とぼける。魔法で片付けはできないようだしね。僕がやってあげよう。

 「ねぇ、父さん。影に関する魔女っているの?」

 「影かー、いるとは思うがいたら物凄く強くて度胸がある人だね」

 「どうして?」少し間を置いたあと、こう言った。「だって、下手したら影に食われるんだから。私だったらイチコロだね」

 父さんは、笑顔でそう言ったが僕は、少し怖かった。鏡しか使えなくていいや。

 「とゆうか、メアリ影を話に出すなんてどうたんだい?」

 「いやまぁ、影の魔女もいるのかなって、森の影みてたらそう思ってさ。」

 「森に影はあるのかな?まぁ、闇も影も似ているのかな」

 

 「でもね、影の魔女をみても容易に近づかない方がいいよ。飲まれるかもしれないから」

 まぁ、実際みたことないんだけど。父さんは、軽くそう言った。まず、僕は魔女を見たことがないから、近づく近づかないとか以前に、判断できないんだよなー。魔女かどうか。

 「終わったら、呼びに行くねー」父さんはそういい、扉を閉めた。

片付け?掃除をしなければいけない。

「さぁ、どうしようか」部屋にむきなおる。床一面に散らばった、紙、紙、紙。書きかけのものもある。気おつけなきゃな。とりあえずまとめておこう。

 窓からの影をみたが何もなかった。ただ、なにかが恐ろしかった。



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鏡魔女 Goodra @cu-kun-

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