第3話 帰り道

「………」(ゴゴゴゴゴゴ…


「………」(目逸し


作業台の上にはバレルが焼き切れ切られたような傷が目立つ一丁のハンドガンがあった。


加熱を鑑みず適当に弾幕パーティーしてたらどんな銃でもこのようになる。


銃口は凹んだようになり、銃身は引き裂かれたようになり。雷管は熱で膨張して使い物にならなくなった。


で、それを直してほしいと頼まれた身からしたら「もえ新しいの買え。自腹で」とイラつきながら言うだろう。いや、実際もう言っている。


「嫌だ」


「嫌だじゃ無くてな…もうこれは無理だ。マガジンキャッチもぶっ壊れてるしフレームも熱で所々溶けたり破損してるじゃないか。例えどんな想い出の品だとしてもこれは無理だ。私にできるのは綺麗にラッピングして記念品にする事だけだ」


「ではそれで」


「もう来んな(#^ω^)」


そう言いながら小さなガラスケースに入れて銃のネームプレートまで用意した整備士はそれを渡して椅子に踏ん反り返った。


「次からはバレルがチタンジェネラルで作られたやつを使え。そいつなら120発までは耐えられるはずだ」


「……ありがとう」


その言葉に鼻で笑って返す整備士に少し微笑んだ彼は寮へと歩を向けた。


その姿を見送った整備士は修理品へゆっくりと手を伸ばした。



***



『次からはバレルがチタンジェネラルで作られたやつを使え。そいつなら120発までは耐えられるはずだ』


その言葉をメモ帳に書き留めて寮への帰り道で寄り道して買ったコロッケパンを大口で食べ歩く彼の横を一人の男が通った。


その瞬間、彼はナイフへと手を伸ばして…間に合わないので動かず相手の出方を待った。


「……少し鈍ったようだな。メルモンド…いや、ベルチ」


「………」


相手がやる気を無くした事を察知した彼…ベルチは突然襲い掛かってきた寮長へと体を向けた。


「お前に話があって来た…コロッケパンをあげるからそんな顔はやめてくれ」


寮長は流石に悪びれたようにコロッケパンを差し出してきた。


コロッケパンを見定めたベルチはやや不満げに受け取ると早速袋を開けて食べ始めた。


「どうだ?うまいか?」


「……ソース」


「え?」


悲しげに落ちたコロッケパンに目を向けて彼は言った。


「ソースの量が少ない…」


手作りパンであるコロッケパン。


その中でも極上と思われる物を選んできたベルチにとって。このコロッケパンはいまさっき食べた一口に比べて安いと感じた。


それに気が付かないほど鈍感ではない寮長はため息をついた。だが、同じ値段の物を渡したので勘弁してくれと彼の顔には出ていた…

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