第2話 混乱状態

「それが抽出した彼女の記憶か…」


脳内で再生された動画と音声を一通り読み込んだ男は言う。


「ええ。それ以降は全て魔力障害によりデータベースが切り替わります」


「切り替わる…そのデータベースのサーバーは?」


「不明です。ただ…謎の物から火炎魔法と思われる画像が繰り返されるだけでなにも…」


その言葉を聞いた男は少し考えるとすぐに顔を険しくして通信を切った。


「クソォ!!」


机を叩き怒りを露わにする。


すぐに部屋から出て路地裏へと出た。


そして、頭上から突如として銃弾は襲い掛かってきた。


「クソ!クソクソクソクソ!クソガァ!!」


魔法障壁により9mm弾は貫通出来ず反射するか直撃して潰れて地面に落ちる。


しかし、絶えず弾丸は放たれる。


何発も放たれ、魔法障壁も目に見えて薄くなってきた。


頭上から撃ってくる奴はただただ撃つ。


その小さな拳銃に一体いくらの弾丸が詰め込まれているのだろうか?


40、45、50、65…70。


「ハァ…ハァ…」


魔法障壁の弱点はなんと行っても行動制限だ。


防御力を上げると機動力が下がり、機動力を上げると防御力と範囲が狭くなる。


男は自身の血液から少しずつ何かが無くなる感覚に襲われ膝を突く。


少しずつ来る寒さで体が震え、目眩と吐き気で体を丸め、最期に上を向き少年の姿を見た。


それはあの動画で見た死んだはずの男に似ているようで…


「クロ…ウ……」


遂に魔法障壁が破れ、男は胸に2発。頭に一発の穴を開け、目を見開いたまま死んだ。


その最後はさながら復讐された者のように地面をただ見つめていた…

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