鎌鼬(かまいたち)
「!?あなた、今何を…!?」館内の美術品を守りつつ、二人の戦いを
「…びっくりし過ぎだろてめぇら。」そんな二人を前に爪は苦笑し、自ら割った窓まで飛び上がる。挑発的な黄色の目を向け、月の光が差し込む窓際から韋駄天に言い放った。
「そこの蹴り技使い、ついてこいよ…広い場所で戦いを続けようぜ…!」そして爪は夜の空へ飛び出していった。
「ごめん糸ちゃん、ここの警護任せてもいいかな?」韋駄天が慌てた様子で尋ね、糸が素早く頷く。それを見た韋駄天はすぐさま、爪の後を追って自身も窓に向かって跳躍した。「気を付けるんだよ!」糸の忠言を背に、韋駄天は窓枠を強く蹴った。
「…まぁここならいいか。」爪と韋駄天は街外れの開けた草原まで来ていた。「さて仕切り直しだ、一応名前を聞いておこうか。」「
爪はつい先程窓ガラスを破壊した時のように無造作に腕を薙ぎ払った。何も見えない韋駄天だが、何か嫌な予感がして大きく横に飛び退く…はたして彼女の判断は正しく。韋駄天が目を向けると丁度彼女が立っていた場所の草が、まるで鎌で刈り取られたかのような切り口で切り取られていたのだ。
(彼女「爪」って言ってたよな、どういうことだ?単純に爪を強化するだけの情力なら、今の攻撃は…?)韋駄天は構えを一層固くして次の攻撃に備えた。そんな彼女を見てにやりと笑う爪は、再びその手を振って正体不明の攻撃を繰り出してくる。
「…しゃーない、少々リスクを覚悟で!」その攻撃を避けた韋駄天は意を決してそのまま爪の方へ詰め寄り、警棒を振り下ろす。対する爪はその攻撃を引っ掻きで受け止め、ガキンと鈍い金蔵音がした。「あなたその情力何?爪に作用してるみたいだけど。」
「…まぁ隠すもんでもねぇか…てめぇの言う通り、オレの情力名は「
爪は後ろに跳躍し、再びその風の刃を繰り出してくる。韋駄天はそれを躱し、爪と同じく後ろに跳んで少し距離を取った。
「…成程…鎌鼬、か…」韋駄天は顎に手を当てて少し考えこみ、そして…
「!?」
爪のすぐ横を見えない何かが通り過ぎ、彼女の頬が少し切れる。
「…面白くなってきたじゃねぇか…!」
流れる血を指で
「さてと、こんな感じかな…風の刃って?」
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