正体不明
韋駄天と
「どうやら心身ともに錆び付いてきたみたいね…鉄の操作に関しちゃなかなかいい線いってたけど、
「さて、憂さ晴らしも十分したことだし…そろそろ終わりにするわ!」その様子をじっと見つめている韋駄天、その口が
「…出来るかな?出来るよね?だって真白が出来てるんだもん…「喜び」も「楽しみ」もワタシの感情…ワタシのチカラ………」独り言のようにそう呟く韋駄天。
「何をぼそぼそ呟いてるの?今更何をしたって…えっ!?」
顔を上げた韋駄天、その
「あんた、それ…!?」予想外の出来事に面食らう金子、韋駄天自身もまたその変化に多少驚きはしたが、「おぉ!やっぱり出来たね情力同時使用!言うなれば、そうだな…「
「何を…!?」戸惑う金子。「悪いけどこの勝負…ワタシの勝ちだよ!!」韋駄天は強化されている脚力でその鉄の網へ飛び移り、そしてその瞬間、鉄はゴムの様にぐにゃりと曲がり、そして形状記憶合金のように弾性を発揮し、元の形に戻ろうとした。その反動を利用して韋駄天は、凄まじい速さで金子に向かい、突進を繰り出した。
避けられる筈もなく、金子はその攻撃をもろに喰らって後ろに吹っ飛ばされた。しかしその後ろにも鉄網は張り巡らされている…
「ぐ…っはぁ!!」金子は突進、そして背後の鉄網にぶつかった衝撃で吐血し、身体を折り曲げて苦しむ。「こんな…バカなことが…!」
「!しまった、情力が…!」金子の目は元の色に戻り、力が抜けて思わず倒れ込む。「わわ、重傷じゃないか!ごめんね、ホントやりすぎた!待ってて、今すぐ手当を…!」韋駄天は持っていた小型医療キットを取り出し、応急手当てを試みようとした…
その時だった。
「オヤオヤ、ダイジョウブデスカキンシサン?」知らない声がその場に響き渡る。「え…誰?」辺りを見回す韋駄天。「ココ、ココデスヨ。」声の主は…韋駄天の真後ろに居た。
「!?」韋駄天はすぐ後ろに跳び、鉄の警棒を形成して構え直す。(ウソ…ウソウソウソ!!ありえないでしょ、全然気配しなかったよ!?)韋駄天は目の前の女に対し総毛立つ。
「マァマァ、ソンナニオビエナイデクレタマヘ、キデンガナニモシナイナラ、オノレモナニモシナイカラクカカカカ!」独特な話し方をするその少女…中性的な容姿に肩くらいまで無造作に切られた銀髪、片目が髪の毛で隠れていたが、もう片方の目は緑色に輝いていた、つまりは…「楽しみ」の具情者だ。
「オット、ジコショウカイガオクレタネ。オノレノヨビナハ、サイタヅマリョウコデアル、イゴヨシナニ!!」
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