天地鳴動
「なん…だ…この情念…あり得ない…!?」風音は珍しく恐怖を露わにしながら、天高く昇ってゆく水面を見ていた。
(この情念、あの時の黒に…いや、それ以上か…!?)隣の赤も改めて敵の強大さを認識し、顔を
「っ!くそっ!!」赤はダン、と両手を地面に叩きつけた。「
「……はは…」宙に浮いていた
「さて…聞こえていたな?今から貴様らが相手にするのは天災だ…自然の脅威に恐れ
「…雲が…!」水面の手に招かれるように、黒雲が彼女の頭上に集まってゆき、そして雷の源である積乱雲が形成された。
「
「
「…!」不意に雷は、急激に周囲の温度が低下しているのを肌で感じた、それもその
「そうら、次は寒波だ…「
「そりゃ、「
「風音、竜巻を!」風音は言われた通り風流を操作し、それを回転、上昇させた。「
「やはり邪魔なのは…あの赤髪か…」水面が赤に人差し指を向ける。するとその指先から、極限まで圧縮された水が勢いよく噴射した。「赤!…がぁっ…!」風音は水面の攻撃から赤を
「…あーしの仲間に…何してんの?」抑揚のないトーンでそう言った雷、その目には明確な「怒り」が宿っていた…しかしそれは同時に「楽しみ」の感情が薄れたということ。「怒り」を宿らせてしまった雷の激情紋様は、案の定消えかかっていた。
「これは好都合、激情態でないのなら処理は
「く…っそ…!」雷は落ちた時の衝撃で動けずにいた。「
「…やはり…貴様から逝くか?」憤怒にその目を赤く光らせる水面…水の矢は音もなく、そして慈悲もなく風音の心の臓目掛け射られ、放たれる。
「風音ぇ!!!!」赤は叫ぶことしか出来ない…今彼女が動いてしまえば、水面の技によって彼女達の身体は、たちまち内側から弾け飛んでしまう。
(あぁ……ここまでか……)脚を負傷し、もはや動くことが出来ない風音…(ずっと一緒に…居たかったのにな……)
―――独り…
父親は物心つく頃に蒸発し、母親もそんな男との間の子である自分を、まるで
―――よかったら…友達になってもらえません?………アタシも……独りぼっちなんすよ……―――
(多分、私の情力が「喜び」だったのは…あなたと出会えた「喜び」を感じる為だったんだろうなぁ…)覚悟を決め、地面に横たわって目を閉じる風音。(ごめんね黄…でも、もう一人のあなたは私が守ったよ……それじゃ、さよなら…)最愛の人に心の中で謝罪しながら、命果てる時を待つ……
…だが……その瞬間は訪れなかった。
刹那の明転、そして飛び散ったのは……雷の血だった。
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