荒天
(妙だ…あの
「…あいつ…!」離れた所にいる赤ですら、
雷の体には緑色の激情紋様が浮き出ていた。更に驚くことには感情に支配されず、意識もしっかりと定まっている。
(…そうだ、「楽しい」んじゃないか…これはゲーム、遊びなんだもん…)今までとは比にならない質量の稲妻を全身から
(相手が強ければ強い程…倒しにくければその分だけ…攻略し甲斐があるってもんよ!!)風音は風を発生させ、すぐさまその場から離れた…下手をすると巻き添えを喰ってしまうと本能的に感じたからだ。
「感情昇華「快楽」…「雷神」!!」
「
「やるじゃん!じゃあ次、「平太鼓」!」先程とは別の雷太鼓を叩く。すると今度は平べったい雷の球が幾つも現れ、水面に吸い寄せられるかのように飛んで行った。「小賢しい真似を!」水面の手の動きに連動し、彼女を囲む水壁が分厚くなる。しかしその分視界が悪くなり、雷はその瞬間を逃さなかった。
「!!」水面が気付いたときには雷は目前に迫り、そして彼女はその手の武器を振りかぶった。
(激情態になったばかりなのに、もう力を使いこなしてる…まともに話せているのがその証拠だ…!)雷達から少し離れた風音は、彼女の攻撃によって大きくふっ飛ばされていく水面を見た。「風音!」「赤!」赤が風音に駆け寄って来た。「あいつの情念が弱まった、おかげで結界を発動しながらでもこうして動けるようになったぜ。」質問される前に赤は答える。
「で、戦況は?」「うん、今雷が水面をぶん殴って、水面はあっちの方に飛んでった。」「まさかあいつが激情者として覚醒するとは…」「わたしも驚いた、今も追撃する為にものすごい速さですっ飛んで行ったし…ほんと人って見た目じゃないよね…」二人は顔を合わせて苦笑した。
「さってっと…あいつはどこに飛んでったのかな〜…」原理は分からないが電気を使い上空に浮上した雷は、額に手をつけて森の方角を見渡す。「めっちゃぶっ飛ばしちゃったけど…多分あの辺かな?…ここに他の人はいないし…やっちゃってもいいかぁ…♪」雷は武器を持つ手とは逆の手を天高く掲げた。すると後ろの雷太鼓から電気が放出され、彼女のその手に集約し始める…
「いっくぞ〜、「
ドン!と、腹の底に響く重低音が湖畔に響き渡る…そして木々のそこかしこから立ち昇る炎…
「やったか?」「分からない…」赤と風音は地上で会話を交わす。雷は橙色に染まる森をじっと見ていたが………
「感情昇華「憤怒」…「
「「「!!!」」」
三人が同時に総毛立つ。形容し難い感情の圧力、大気の振動、降り出した冷たい雨と共に肌を刺すのは…「怒り」を超えた「憤怒」…
燃え盛っていた炎が天より注ぐ雨水によって消火され、シュウ、という音が静かに木霊する中、人影が夜空へと昇ぼってゆく。
「まさか
「覚悟しろ…今から貴様らが対峙するのは……」
「…天災だ。」
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