立案会議其の二
「晶さん、透那さん!あちらの方向、情力で視認してもらえますか!」言われた二人は情力を発現させ、瞳の指さす方を注視する。
「…視えたか晶…」「はい…天窓の外、何者かがこちらを覗いていました……「哀しみ」の具情者です!!」晶は情力で視力を調整し、対象の目を視ることが出来ていた。「その者の特徴は?」焦った様子で尋ねる瞳。
「仮面をつけていました…背丈は
(まさか…あの二人と一緒にいた子か?だとしたら…!)瞳は色橋駅で
「皆さん、今から話すことに一つ重要な情報を付け加えます。」瞳は眉間に皺を寄せて言う。「この戦い…私達の戦力情報が筒抜けになったと前提して臨む必要があるかもしれません…!」
「戻ったか、
「はい…」椎名と呼ばれたその者は仮面を取る。茶色の長い髪をポニーテールにしたその少女は、どこか
「私が昨夜遭遇した具情者の一人、その者は視認した相手の情力を見抜く力をもっていました…もし先程の者が彼女と同一人物だとしたら…我々の力が見抜かれてしまった可能性があります…」場面は再びホテルの広間。
「え、大丈夫なの?」韋駄天が不安そうに尋ねる。「大丈夫ではありませんが…戦いを目前にした今となっては、そこまで危惧することもありません…それに、敵の情報を持っているのは向こうだけではありませんからね。」瞳は腕組みをし、韋駄天の方を見る。
「水面と呼ばれていた者も言っていましたが、今更情報を掴んだ所で対策を練る時間は限られている…なのでこちらも、戦略の大幅な変更はしません。では今からその事情も踏まえ、作戦をお伝えします。」エモートゥス、そしてドッペルゲンガーを筆頭とした具情者集団が、時を同じくして立案会議を始めた。
「それじゃあ八重ちゃん、泥濘ちゃん!私の指示の通り、この瓦礫達を情力で動かして
「私が気を失っている間に…何でこんな事になってるの…?」その泥濘は状況の変化にまだ付いて行けていないようだ。
「まぁ…色々あってね…ごめん、後でちゃんと話す…」八重はバツが悪そうに目を逸らす。泥濘はまだ釈然としない様子だったが、それ以上は追求せず自身の作業に集中し始める。八重の重力、泥濘の岩石操作により、地面の瓦礫が次々と宙に浮かんでゆく…
「さて…」情力で繊維を操作し、宙に浮かんでいる糸は気合いを入れる。「始めましょうか…修繕工事!!」
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