路情襲撃
キッチンワゴンの側にいた、大人の一歩手前という表現がぴったりなその少女が顔を上げる。すると彼女と同じく美しい黒髪を
糸、と呼ばれた、思わず見とれてしまう程の
「そっちは相変わらずみたいね、突然姿を
「そうでもないさ…あんたも見ただろう?あたしが仲間といるの。」
「仲間、ねぇ…」糸は血染が向いた方に目をやる、どうやら真白達の動向に気が付いていたようだ。
「まぁ確かに、あんたが誰かとつるんでるのは珍しいわね、中々と
「赤?その赤ってのは赤髪の子かい?残念だけど、色違いはそっちの方なんだよ。」血染が糸の目を見る。
「…それを説明してくれるから、わざわざ一人残ってここに来たのよね?」椅子に腰掛けていた彼女は前の机に頬杖を突く…だがその視線は、まるで狩人のように鋭く血染を射貫いている。
「ふふ、まぁそう焦らなくてもちゃんと話してやるよ…
「ストップ、過去の話はやめて。」糸が血染を制止する。「…コーヒーくらい
「皆さん、街への被害は最小限に!出来るだけ早急に路情を消滅させてください!」瞳達は
”Vous allez bien?”(大丈夫?)
瞳が
”Ne vous inquiétez pas, nous sommes de votre côté.”(心配しないで、私達は貴方達の敵じゃないわ。)
瞳が再びその子達に話し掛ける。その子達は彼女が脅威ではないと判断したらしく、ぽつりぽつりと話し始めた。
”Notre maison s’est soudainement effondrée, et maman et papa ont disparu!”(あたしたちのおうちがこわれて、ママとパパがどこかに行っちゃったの!!)
何とか言い終わった後、その子達は緊張の糸が切れたのか、とうとう声を上げて泣き出してしまった。「どうやらこの子達は親とはぐれてしまったようです、このまま置いて行く訳にはいきませんね。」瞳が皆に言う。
「ほんならうちと瞳はこの子らの面倒見ることにして、真白と韋駄天は先に進んどいてくれ。安全なとこにこの子ら届けたらすぐそっちに戻るから。」焔はその子達を見て真白達に言った。
そんな訳で焔たちと別れた真白達は更に先へ進み、ようやく路情達が暴れている所に辿り着いた。
「最初と同じだね、ワタシと真白の二人組。」
「そうですね。」
少し笑い合いながら周りを見て状況を確認する。「…よし、住人はみんな避難したみたいだね、なら
「初のお
韋駄天は、ちょうどボウリングの球くらいの大きさで銀色の物体を取り出し、地面にコツンと落とした。するとその球はまるで水のようにバシャ、と形を崩し、瞬く間に液状化した。更にその液体が生き物のように独りでに動き、彼女の足をみるみる内に
「うん、問題なく機能してるね!それじゃ早速、路情退治と行きますか!」カンカンと地面を蹴り、同時に情力も発現させた韋駄天…武装した彼女は、路情に向かってすごい速さで突進してゆく。(いつの間にあんなものを…っといけない、わたしも加勢しないと!)真白も警棒を取り出し、慌てて彼女の後に続いた。
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