具情
翌日。
「真白ー、また面白そうな情報あったよー!」教室で韋駄天がスマホ片手に真白へと声を掛ける。
「ほらこれこれ「火を操る怪人現る」って記事…怪人て(笑)。何でも最近、火を扱う不審者が出没してるって噂が流れてるらしくてね。んでもって面白いのが、コイツが何の道具も使わずに、まるでマジックみたいに火を点けたって言ってる目撃者が多数いるみたいなんだよ!」
韋駄天は続ける。「ただ現れるのは決まってひったくりとかケンカみたいな騒動の場で、事件の被害者も「その人が犯人を火で追い払ってくれた!」「無法者の争いを止めてくれた!」なんて言ってるみたいでね…ホンット何が目的だろ、正義の味方でも気取ってるのかな?」何故か最後に毒を吐いた彼女。
「火…ですか」
「うん。フードを
「……」
「だからソイツとコンタクトを取ってみたいと思うんだけど、付き合ってもらってもいいかな?」
「わたしは構いませんが」
「ありがとう、助かるよ!実はキミありきの作戦をもう考えてあるんだ!」韋駄天は嬉しそうに話し始める。
「正義の味方には悪役が必要でしょ?だからワタシ達で騒動を起こしちゃおうって作戦。コイツが出そうな場所と時間帯は過去の出没記録から大体予測出来るから、その辺りでちょっとした
「まぁ普通にツール使って捜索してもいいんだけど、それじゃあつまんないからさ!どうせならエンタメ要素も含んじゃえ!って思った訳よ!あ、もちろん誰も傷つけないし、損害を与えるような迷惑はどこにも掛けないよ!」
その後韋駄天がてきぱきと計画を立て、実行は翌日の午後八時、東京都内の某所で、ということになった。
「ところで韋駄天さん、情力に関しては何か分かったのですか」真白が尋ねると「まぁね。あの後しばらくあちこち跳び回ってみたんだけど、力の使用に
「でも発現を止めてしばらく経つと感情が回復して力も戻った。そうだな、例えるなら…肉体を車とするでしょ?そしたら感情はガソリンだな!どうやらこの「情力」、感情が続く限りは使い続けることのシロモノらしいよ。あ、実は今回ワタシ、この情力の実験もしたいと思ってるんだ!自分の力がどの程度使えるのか…ふふ、考えただけでワクワクして震えてきた!まぁ、当日を楽しみにしてて!」
口早に説明をし、韋駄天は得意げに微笑んだ。
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