登校したらいきなり幼馴染から、子供が出来たと言われたのだが⁉
さばりん
幼馴染が突然、子供が出来たと言ってきたんだが⁉
俺、佐藤卓也がいつものように学校へ登校すると、幼馴染の
「おはよー卓也!」
「よっ、おはよう愛子」
「ねぇ、聞いて聞いて!」
「ん、なんだ?」
俺がバッグから筆記用具などを取り出しながら尋ねると、愛子は意気揚々としゃべり出す。
「昨日ね、私ついに出来たのぉー!」
「出来たって何が?」
「そりゃ、子供だよ!」
「……はぁ⁉」
突然の幼馴染からの妊娠宣言に、俺は大声を上げてしまう。
「おまっ……いつだよ⁉」
「そりゃ昨日、多目的トイレでヤってた時に」
「多目的トイレでヤったのか⁉」
おいおいおい、いくらお盛んな年頃とはいえ、多目的トイレは世間的にも色々とアウトだろ!
「それでね、プレイしてたらドバドバって出てきてー!」
「おうふ……」
俺は思わず変なものを胃から汚物を吐き出しそうになってしまう。
「いや、そんな生々しい報告はいらないから」
「えぇー⁉ だって卓也もずっと楽しみにしてたじゃん」
「これっポッチも楽しみにしてないけど⁉ むしろ初耳なんだが⁉」
「えぇー? この前卓也と一緒に家でヤった時も楽しそうにシてたじゃん?」
「俺の家で一緒にヤったのか⁉」
「何そんなに驚いてるの? 卓也の目の前でシて見せてあげたでしょ?」
「えぇ⁉ 俺の前でシて見せただと⁉」
俺は目を見開き、口をあんぐりとさせてしまう。
全く身に覚えがないんだが⁉
俺、いつの間に愛子とそんな変態プレイをしてしまったんだ⁉
「悪い……俺、記憶がないんだ。もしそんな酷い事を愛子にシちまったなら、これからご両親に謝りに行ってくるわ……」
「えぇー? なんで親に謝りに行く必要があるわけ? 意味わかんないんですけどー!」
そう言いつつ、愛子は呑気に笑っている。
「いや、そんな呑気に笑ってる場合か! とりあえず病院に行かねぇと!」
「えっ、どうして?」
「どうしても何も! まずは赤子の容態を確認しなきゃ駄目だろ!」
「あぁ、大丈夫だよ。お医者さんもみんな元気そうだって言ってたから」
「な、なら良かった……じゃなくて⁉ 誰の子だよ⁉」
「誰って言われても、そんなの分からないよ」
「昨日多目的トイレでシたんじゃないのか⁉」
「えっ、確かにプレイしてたのはそうだけど、今までも色んな所でヤってたし、誰のなんて分からないよー」
「おまっ……マジで何やってんだ⁉」
俺の幼馴染が、そんなに色んなところでなりふり構わず股を許してヤりまくっていたとは……。
性の乱れにも程があるだろ!!!
「とにかくあれだ、まずは父親を捜そう」
「えっ、どうして?」
「そりゃお前、どこぞの知らぬ男に愛子が妊娠させられたんだ。責任ぐらいは取ってもらわないとな」
「……へっ? 何言ってんの卓也?」
「……えっ?」
そこで、二人の間に生まれる、不思議な沈黙。
俺は、恐る恐る尋ねた。
「お前、今何の話してる?」
「何って? この前卓也に牧〇物語で猫を育ててるって話したでしょ? その子猫が出来たって話」
「……あーね」
ようやく謎が解明し、俺はほっと胸を撫で下ろす。
「卓也、一体何の話だと思ってたの?」
「いや……てっきり俺は、愛子が見知らぬ男と毎日色んなところでヤりまくって妊娠しちまったのかと……」
「ぶはっ。なにそれ、そんなわけあるわけないじゃん! ってか、仮にそうだとしたらもっと深刻な問題でしょ」
「だからおかしいとは思ったんだよ!」
あぁもう、朝からなんでこんな気疲れしなきゃならねぇんだ。
俺が机に突っ伏すと、愛子がチョンチョンと指で肩を突いてくる。
「んぁ? なんだよ?」
俺が見上げると、愛子は頬を朱に染めてモジモジとしていた。
そして、ちらっとこちらを見据えると、恥ずかしそうにしながら言葉を紡ぐ。
「大体……そう言う事するなら、た、卓也としかシないよ?」
「……なっ⁉」
まさかの爆弾発言に、俺は唖然としてしまう。
「ふふっ……なら今度、卓也の家でヤってみる?」
「ばっ……馬鹿やろう! そうやって人をからかうんじゃねぇ!」
俺がそっぽを向くと、愛子はくすくすと笑い声をあげた。
「もう卓也のいけずー」
「誰がいけずだ!」
そんな俺たち幼馴染同士の夫婦漫才を、今日もクラスメイトたちは、恒例行事のように温かい目で見守っているのであった。
登校したらいきなり幼馴染から、子供が出来たと言われたのだが⁉ さばりん @c_sabarin
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