新生桃太郎紀行〜俺の二つの玉(だんご)を狙ってくるのは悪役令嬢と聖女と溺愛王子様〜

ぽんぽこ@書籍発売中!!

どんどん、ぶらぶら、こっこっこ


 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。


 おじいさんは山へ、しばかりに。


 おばあさんは……川で桃尻をした男の子を拾いました。



 すくすくと育った桃尻太郎は、なんやかんやあって鬼退治に向かいます。


 その旅の途中で出逢ったのはワンワン、と鳴くワンコ……ではなく、頭からケモミミの生えたドレス姿の女でした。



「アナタのその腰についている玉をわたくしに寄越しなさい!!」


 桃太郎は逃げた。


 野生の痴女である。



「ねぇ、ちょっと!! どうして逃げるのよ!!」


 初対面で人のタマタマを寄越せというのだから逃げるのは当たりまえ。


 渡したらタマになってしまう。ネコか。




 山を駆け上り、川を越え。


 途中でクマと相撲を取る半裸の男の隣りを通り過ぎた頃。


 桃尻太郎の視線の先に、修道服から茶色の尻尾を生やした女があらわれた。



「貴方が桃尻太郎ね!! お前のせいでコケッコ様に婚約破棄されたじゃないの! 殺してやる!!」


 どういうわけか、桃尻太郎は聖女と名乗る女にもタマを狙われる羽目になった。


 勘弁してほしい。二人にタマタマを取られたら桃尻太郎には桃尻しか残らない。



 桃尻太郎は服を脱ぎ去り、泣きながら海へと飛び込んだ。


 こうなったら鬼に助けてもらおう。そうしよう。



「ようやく見つけたぞ、桃尻太郎! 僕と結婚してくれ!!」


 痴女犬と殺人猿に追われながら鬼が島に向かってクロールをしていると、空の上から王子が飛んできた。


 王子は頬を染めながら、桃尻太郎の桃尻を見詰めている。



「お前らやめろ!! 俺の股間をそんな目で見るんじゃない!!」


 這う這うのていで鬼ヶ島へと辿り着いた桃尻太郎は島に居た鬼に泣きついた。



「お願いだ、助けてくれ」


 しかし鬼たちは揃って桃尻太郎を見ていなかった。



「そのお腰に付けた立派な棍棒を貸してくれたら力を貸そう」



 そうして桃尻太郎は優秀なお供と一緒に恐ろしい怪物を見事打ち倒し、鬼ヶ島でいつまでも楽しく暮らしましたとさ。

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