コメディーについて思うあれこれ

雪車町地蔵

第1話 お笑い/コメディについて思うこと

 えらい。


 正直、コメディを書ける人って、めちゃくちゃ偉い。

 だって、読者を笑顔にしようって心意気なわけでしょ? これを偉いと言わずして、なんと呼べばいいのか、私は表現の言葉を持たない。


 創作とは――なんて大仰なことを語るつもりはない。

 だが、誰かが読むことを想定して物語を書くというのは、想像以上に大変なことだ。


 相手を傷つける物語があり、涙無しでは読めないお話があって、センスオブワンダーと称される感覚が尊ばれる創作の世界。

 そこで、読者が笑えるように全霊を尽くすってのは、尋常じゃない力量と覚悟と、積み重ねが必要になってくる。


 不謹慎や理不尽を排し、あるいは逆に利用し、毒を吐き、その毒を薬にする技術。

 マンガや現実のコントならば、絵面や聴覚に訴えることも出来るだろうが、小説ともなれば純粋なでの勝負となる。


 勢いで笑わせればいいという意見もあるだろうが、それだって製薬が沢山だ。

 これだけあちこち縛られているのに、コメディ畑の人たちは私たちをくすりとさせてみせる。

 これにはシャッポを脱ぐしか、敬意のあらわしようがない。


 とくに、だ。

 ラブコメというやつはスゴい。


 私には、あれがどのような術理で構築され、どのような効果を読者に与えるのか、カケラも読み解くことが出来ない。

 オーパーツやロステクの類いだ。


 ラブコメを読み、笑って、泣いて、ドギマギして。

 そうしてその日一日、ちょっとだけでもいい気分で生きてみようという人は、多分この世の沢山いる。

 コメディの作者は、そんなにも多くの人を救っているのだ。


 言わずもがな。

 世の中ってのはいつだって薄暗い。

 どこにだって影は射すし、人生は万事うまくいかないことだらけだ。


 だからこそ、息抜きというやつは必要で。

 とくに大衆というのは、笑いを求める。


 私には難しいことだが――これを成し遂げられる方々がいる。

 切に思うのだ、本当にその人達は偉大であると。


 笑顔は本来攻撃的なものだとか、そういうミームも存在する。

 けれど、やはり笑うと人間ってやつは、気分が楽になるのだ。

 人を楽に出来る創作を生むコメディ作家達を、私は心から尊敬している。


 オチも何もあったものではないが、これが私の、偽らざる本音だ。

 世に生きるコメディ/お笑い作家達に、輝かんばかりの未来と祝福があらんことを、心より祈る次第である。


 以上!

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