被写体

バブみ道日丿宮組

お題:これはペンですか?違うわ、それは体 制限時間:15分

被写体

 モデルになってあげると言われたから、絵を描いてるものの……。

「裸じゃなくてもよかったんじゃない?」

 被写体に疑問があった。

 着てた制服は、机の上に放り投げられ、下着は床の上に落ちてる(黒い下着で大人っぽい。あたしには似合わなそうなデザイン)。

「無駄なものなく表現できたほうが良いでしょ?」

「大きな胸とか陰毛とか、ある意味無駄そうなのはあるけど……」

 視線をそこに向ける。

「やらしー。そんなとこばっか見てるんだ」

 胸を張り、わざわざ股間をくぱぁとさせる。ちょっと離れてるから、あまり見えないのが少し残念。自分でよく見ようとしても、鏡の関係上しっかりと見たことがない。

 まぁ……彼女のそれを見たところでしっかりそれを描くことはできないんだけど。

「同じもの持ってるんだから、興奮なんてしない。同性でそうなるのはおかしなことでしょ」

「同性愛は別に異常じゃないよ? 誰を好きになるなんて自由なんだから」

 それは好意があるということだろうか。

「知らない? わたし、あなたのこと好きなんだから。だから、こうして全部見せられるの」

「恥ずかしくないの?」

「見るのはダメだけど、見られるのはなんか好きみたい」

 彼女はくぱぁをやめると、元のポーズに戻った。

 堂々としたその様子に恥じらいというのはなかった。

「帰宅部の癖に、無駄なところがなくてずるいな」

「適度な運動、きちんとした睡眠が秘訣」

 それをできてる人は少ないだろう。

「勉強だってできるし」

「授業をきちんと聞いてればできる」

 できる人は皆同じことをいう。

「あなただっていいもの持ってるんだからね」

「そうなの?」

「そうだよ。これからヒットする」

 賞らしいものを取ったわけでもなく、どこかにイラストを投稿してるわけでもない。

 ならば、いったい何がヒットするんだろうか。

「……できたから、服着ていいよ」

 そう?という声とともに、下着を拾って、制服ともに着る。

 その様子は凄くエロかった。

 男子はこういうのが好きなのかも知れないが、きちんと見れてる人はいないだろう。

「ふーん、キレイに描けてるじゃない」

「そうかな?」

「こういうふうに見られてたんだって思うと、少し恥ずかしいかも知れない」

 イラストになるのと、実際に見られるのには違いがある。

 何かを通す。

 それがきっと重要だ。

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被写体 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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