ユニークな設定が光る作品である。魅力的な登場人物、不思議な世界観が生き生きと描かれている。だが、そんな特殊な設定にも関わらず、そこに生きる人々(?)が、ごく平凡な出来事を前にして一喜一憂する様子に愛おしさを感じる。
この小説の醍醐味は、大掛かりな舞台設定にあるというよりは、むしろ細やかな心理描写にあると思う。或いは、その二つの間に生じる、ギャップのようなものが魅力なのかもしれない。ロボットと魔女が共存するような特殊な世界であるが、そこで織り成す恋愛事情はあまりに身近で平凡である。そこに魅力を感じた。
このお話の続きを読みたいと思ったが、どうやら一話で完結してるようだと知って、少しだけ残念な気持ちになった。今後の彼らの恋愛事情が気になるほどに、面白く読むことができたということだ。今後の活躍を期待して待ちたいと思う。