呼ばないシックスセンス

譚織 蚕

第1話

 おはよう。

 日光で室内は明るい。


 今日も普通に目が覚める。アラームを4回鳴らして、お母さんに怒られつつ起床。


 歯磨きをしていつも通りの朝ごはんに、いつも通りの朝の情報番組。

 特別なことといえば占いで2位だったことだろうか。4位以上なら勝ちだ。


 制服に着替えて、時間割りをして。


「いってきまー」

「行ってらっしゃい。気をつけられぇー」

「分かってるって!」


 いつも通り家を出て、いつも通り道を歩く。

 見慣れた景色に、葉を落としてから数ヶ月経った街路樹。

 犬が歩き、小学生が騒ぎ、私は静かに歩いている。


 いつも通り歩いている。


「お、ちょっと今日は早め???」


 いつもより50メートル遠いところで、毎朝すれ違うおばさんとすれ違った。

 まぁだからどうしたという話。交差点を基準にしてるだけだから、実質時間なんてガタガタ。あちらにも日々の時間のズレはあるだろうし。


 いつもと同じ。

 いつもと同じ。


 特別なことはなんにも無くて。

 でも、そんな時にこそ……


「ひゃっ!? なにこれ!????」


 何かが起こる。


 目の前には緑の小人。ボロきれを纏い棍棒を持った彼はそれを振りかぶる。

 そして世界がスローになって……


 私に向かってその凶器を振り下ろした。


 あぁ、今日は普通の日だった筈なのに。

 1から10とは言わない。でも私のスタンダード。


 何も無く、恙無い筈だったのに。


 虫の報せは存在しない。

 シックスセンスは発動しない。


 この日世界は大きく変わった。

 世界中の多くの人々にとって何気ない朝だったにも関わらず。

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呼ばないシックスセンス 譚織 蚕 @nununukitaroo

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