真相追及!【KAC2022】

水乃流

第六感、その正体に迫る!2時間SP

 こんばんは、『真相追及!』の時間がやってまいりました。

 今週は、『第六感、その正体を探る』と題しまして、第六感というものの正体を突き止めたいと考えております。そこで、第六感に近いと思われる方々をお呼びしました。こちらの方々です。


 えぇと、左から視覚さん、聴覚さん、触覚さん、味覚さん、嗅覚さんです。


「百聞は一見にしかず、視覚です」

「聞き逃さないよ、聴覚です」

「触れればぴたりと、触覚です」

「味な奴、味覚です」

「……嗅覚です」


 みなさん、ご存じの五感のみなさんです。今日はありがとうございます。さて、第六感ですが、その正体についてはいろいろと……


「その前に、ちょっといいですか?」


 なんでしょうか、視覚さん?


「そのね、第六感って言い方ですがね、私らまとめて呼ばれるのに、なんで正体もわからないような奴が単独で呼ばれるんですか?」


 え? それは……正体がわからないから、ではないでしょうか?


「それは、ボクも思ったよ。ひとりだけ『第六の男』みたいにちょっとカッコつけてさ」


 かっこつけって……


「大体、第六っていうならさ、第一感、第二感は何かって話だよ」

「第一感は、この私、視覚ですけどね」

「はぁ? 第一感はボクでしょ」

「まぁまぁ、視覚さん聴覚さん、相手に直接触れて感じられるこのワタシ、味覚を差し置いて第一感はないでしょ」

「「なんだと!」」

「味覚こそすべて! 味覚がない人生なんて、まさに味のない生活ではないですか」

「物を見て、手に取らなければ味わうこともできないでしょうが! だから、視覚が一番なの!」


 みなさん、争いはやめてください。誰が一番でも……って、触覚さん! 何をしているんですか!


「いや、そのぉ、触覚の良さを知ってもらおうかと」


 だからって、アシスタントのお尻を揉まないでください。ちなみに、アシスタントはマネキンですからねっ!


「えっ! 道理で硬いと思った」


 まったくもぅ。ほかの皆さんも、いつまでやっているんですか。いい加減にしてください。あれ? 嗅覚さんは……そんな隅っこで何しているんですか、嗅覚さん。


「ワシ、他の奴らと違って、目立たんから……がんばらんでも、第五感にはなれるでしょ、ワシ、それでいいよ」


 そんな後ろ向きな。いや、争えって言っているわけじゃないんですけども。


「わかってる、わかってる。どうせ、嗅覚なんて犬には絶対勝てないし、大切だと思う人もおらんし」


 そんなことありませんって、嗅覚も大切ですよ、ほんと。……だから、触覚さんは所かまわず揉まないで、それは私のお尻ですから! 視覚さんは味覚さんの舌を引っ張らないで! 味覚さんは聴覚さんの耳を引っ張らない! 聴覚さんは視覚さんに目潰ししない! も~みなさん、やめてください。これじゃ番組がぁぁぁ~!


「プロデューサー、どうしましょう?」

「ん~悪い予感はしてたのよ。“虫の知らせ”ってやつ?」


ずこっ!

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