しんと静まりかえった夜の公園で、黒猫のヴラド三世を探してまわるカズキとあたし。
祖父から占い師の仕事を継いだカズキには霊感が全くないので、請け負う仕事は何でも屋めいている。それでいて、彼をじっと覗き込む霊のたぐいも少なくなく、霊感ばっちりのあたしは気が気でない。霊能に関する仕事は、あたしが手伝っているというわけだ。
あたしは彼に懐いている。何故なら、あたしに手を差し伸べてくれたのは、このカズキだけだから。それはあたしの永遠の孤独を癒す救いの手に他ならず……。
本来は交わらないはずの道を共に歩くことになった二人。その間を繋ぐのは、しゅわしゅわと弾けるオレンジサイダー。想いの丈を打ち明けたら、この関係は崩れてしまうかもしれない。いや、そんな不安にかられているのは、あたしだけかもしれないぞ……? 淡く弾ける泡、その香りだけが、いまは二人の気持ちを代弁してくれるのだろう。甘く爽やかな匂いが夜空に満ちる、ロマンスたっぷりの時間を、あなたに。