長らく休載していたが、このたび長編シリーズの一編を独立させたということで、久々に再読。満足できる読み応えで、面白さを再確認できた。再編に伴って読み始めやすくなり、新たな読者にも門戸が開かれた。
詳細は長編シリーズのレビューを是非お読みいただきたいが、今回再読して、この作品のリアリティを支える要素の一つが「都市」の描写の巧みさであることに感心させられた。
舞台となる王都•レンは、政治経済の中心であり、物流や情報の結節点だ。物語では、主人公だけでなく、周囲の人々の日常生活が活写され、物語世界の歴史や社会制度がいかなるものであるかの片鱗も窺わせる。都市を描くことはさしづめ、一つの世界を描くことなのだ。
この奥行きのある世界で繰り広げられる冒険活劇は、スリルと興奮に満ちている。今後のシリーズ再開を心待ちにしている。
とにかく戦闘描写が圧倒的。
プロの作品も含め、このレベルの小説にはお目にかかったことがないと言っても過言じゃないくらい。
カクヨム登録一発目でとんでもない作品に出会ってしまった。2回読み返してこのレビューを書いてます。
とにかく凄いバトルが読みたいなら絶対にオススメできます。
2022年3月28日追記
作者様の小説「剣雄綺譚」でこの作品の続きにあたる部分をある程度読んできました。
そして感じたのが設定の妙。
不況打破のためカリスマ国王が改革を行い中央集権化を推し進めたという設定があるのですが、それがこの作品の世界観を地に足の付いたものにしていると思います。
ヨーロッパ風の世界で封建制なのになんの説明もなく強大な王国軍が登場したり貴族が宮廷貴族化していたりする作品が氾濫する中、よくかんがえられてるなぁと感心させられました。