【KAC20223】お題「第六感」「念願の斥候スキルを手に入れたぞ!」
テリヤキサンド
「念願の斥候スキルを手に入れたぞ!」
冒険者ギルドにてテーブルでお茶を飲んでる少年の元にその友達らしき少年がかけこんできた。
「やったぞ!」
「ん?どうしたんだ?まあ、とにかく落ち着いて水でも飲んだらどうだ?」
「お、おう、そうだな。」
少年は差し出された水を掴むと一気に喉に流し込み、少しむせてから懐から巻物を出す。
「これを手に入れたんだよ。」
「これってスキルスクロールだよな。」
スキルスクロール。巻物を開け、魔力を流し込むとスキルを獲得できる使い捨てのアイテムである。
「で、なんのスキルなんだ。」
「ふっふっふ、それはな俺達に必要な斥候スキルだ、その名も『第六感』」
「おお、欲しかった斥候スキルか。で、どんな効果なんだ?」
「なんでも、危険が迫った時に感覚でわかるようになるらしい。」
「それなら、ダンジョンも二人でいけそうだな。」
「おうよ、さっそk」
「それやめといた方がいいよ。」
話に夢中になっていた二人に声がかかる。
その声に二人はそちらを向く。
そこにいたのは席に座った一人の少女。
服装からして剣士のようだ。
「なんで初対面の君にそんなこといわれなきゃいけないんだ?」
「理由があるならいってみなよ。」
盛り上がっているところに水をさされたせいで二人は不機嫌そうに少女につめよる。
少女はめんどくさそうな態度で一言だけいった。
「勘」
「はあ、勘だあ?勘なんて当てにならないもんでそんなこといったのか!?」
「そうだ、勘なんてものより、この『第六感』っていうスキルの方が信用できる!?」
癇に障ってしまったようで、怒り出す二人。
言ってしまった少女はというとこの反応が予想していたのは、溜息をついて席を立つ。
そして、去り際に一言。
「後悔しても知らないよ。」
「はん!後悔なんかするかよ。」
「これさえあれば、俺達はもっと上にいけるからな、じゃあ、早速ダンジョンにいくか。」
「おうよ。」
少年二人と少女はそこで別れ、少年二人はダンジョンへと向かう。
そして、ダンジョン前にて、スキル『第六感』を取得してダンジョンに挑む二人
キュピーン!「そこに罠がある!」
キュピーン!「ゴブリンが角の向こうで待ち伏せしている!」
キュピーン!「この宝箱には開けると矢が飛び出す仕掛けがある!」
キュピーン!「そこにゴブリンの糞がある!」
キュピーン!「上から水滴が落ちてくる!」
キュピーン!「ここに段差がある!」
キュピーン!「薬草がある!」
「・・・なあ。」
「・・・なんだ。」
「その『キュピーン!』っていうの出すのやめれないの?」
「ダメだ、これ自動的にスキルが音を出しているっぽい。」
「その音のおかげでゴブリン奇襲かけようとしたら、ばれて乱戦になったよな。」
「ああ。」
「それにさ、そのスキルさ、躓きそうな小石にまで反応したよな?」
「ああ。」
「・・・・外れスキルじゃねえかあああああああ!?どこで手に入れたんだよ!?」
「露店でさ、これが安売りしてたもんでさ。店員もいまだけお得って言ってたし・・・。」
「どうみても詐欺です。ありがとうございます!」
「じゃあ、どうすればいいんだよ。」
「スキル削除スクロールで消すしかないだろ。」
「スキル削除スクロールってかなり高いよな。」
「今ある金はほとんどなくなるだろうな。」
「この先、このスキルに悩まされるよりマシだろうけどさ。」
「このスキルって町でも作用する可能性もあるんだよな。」
「宿泊まれるかな?」
「とにかく、帰るか。」
「そうだな。帰るか。」
とぼとぼとゴブリン数匹の討伐証明と宝箱に入っていた銅の剣、薬草を持ってダンジョンをでて、町に向かう二人。
そんな二人をダンジョンの入口で隠れてみていた者がいた。
「だから、忠告したのに・・・。」
それは冒険者ギルドで二人に声をかけた少女だった。
「勘っていう言葉だけじゃダメなのかな。」
少女にもスキルがある。
そのスキルは『予感』。
いい予感だったり、嫌な予感だったりと感じる程度のもので、人に言う際は勘としかいいようがないスキル。
「悪いことしちゃったかな?」
気の毒にと思いつつ、少女は小さくなっていく二人の少年を見送っていた。
【KAC20223】お題「第六感」「念願の斥候スキルを手に入れたぞ!」 テリヤキサンド @teriyaki02a
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