女子高生の会話、第六感編

山口遊子

第1話 五感の次の感覚とは?

[まえがき]

今回はほぼ会話文なので、戯曲風に誰の言葉か書くことにしました。これを最初の作品『巻き込まれ召喚~』やって大ひんしゅくで、書き直したのは今となってはいい思い出です。ワハハハ。

ア:が明日香でシ:が静香です。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 例のごとく堀口明日香と鶴井静香がテニス部の部活の後片付けを終えて、二人そろってシャワーを浴びている。


ア:「ねえ、静香?」


シ:「なに?」


ア:「五感ってあるじゃない」


シ:「うん。あるね」


ア:「前から不思議に思ってたんだけど、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五つ、どこにも『感』なんてなくて全部『覚』じゃない」


シ:「そう言えばそうだけど、『五覚』だと五画って感じで画数みたいじゃない」


ア:「そうだけど、外国人から見たら覚えにくいよね」


シ:「そうかも」


ア:「でしょ?」


シ:「それで、お終い?」


ア:「五感でも五覚でもいいんだけど、あれって、順番知ってる?」


シ:「順番て?」


ア:「視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の順番。第1がどれで、第2がどれってこと」


シ:「うーん。そういえば知らないけど、明日香は知ってるの?」


ア:「わたしも知らないから聞いてるの」


シ:「第1はやっぱり視覚じゃない。脳が受け取る情報の何割だったか忘れたけど、一番多いのが視覚だったはずよ」


ア:「じゃあ第2は?」


シ:「嗅覚か聴覚じゃない?」


ア:「耳から入ってくる情報の方が多い気がするけど」


シ:「でも、匂いってずーと昔に嗅いだ匂いを長年忘れていても、同じ匂いを後で嗅ぐと思い出すことがあるわよ」


ア:「じゃあ、第2と第3はその二つのどちらかってことで。第4は味覚、第5は触覚で決まりかな」


シ:「それでいいと思うよ。

 ねえ明日香、そう言えば第6感ってあるじゃない」


ア:「あるね」


シ:「あれって、順番は6番目固定だからいいけど、視覚とか聴覚みたいな『覚』のつく言葉で言うと『なに覚』かな?」


ア:「うーん。なにかなー? あれって一般的には予感とかそういったものでしょ?」


シ:「良く分からないけど、五感以外で何か感じたらなんでも第6感なんじゃない?」


ア:「じゃあ、お腹が空いたとか喉が渇いたとかも感じてるから第6感てこと?」


シ:「ちょっと違うかもしれないけれど、全く違うとも言い切れないと思うよ」


ア:「じゃあ、トイレに行きたくなるのも一緒よね」


シ:「うん」


ア:「『うん』って笑わさないでよ!」


シ:「そういう意味でいったんじゃないわよ」


ア:「まとめると、おなか関係全般が第6感ってことだね」


シ:「それでいいんじゃない」


ア:「『あなた第6感を感じたこと有りますか?』ってテレビのリポーターにインタビューされたら『あります!』って答えられるね」


シ:「そうだけど、どういった感覚ですかって聞かれたら困らない?」


ア:「『うーんって感じ』って答えればいいのよ」


シ:「もう明日香ったら。でも、それでいいのかな?」


ア:「いいの、いいの。そろそろ出ない?」


シ:「うん。でよ」


ア:「アハハハ。静香笑わせないでよ。アハハハ」


シ:「私まで可笑しくなっちゃった。アハハハ」



(おしまい)

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女子高生の会話、第六感編 山口遊子 @wahaha7

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