第六感で全ては始まった

出っぱなし

第六感について考え、過去を思い出す

 第六感というのは、 身体にそなわった感覚器官を超えて、ものを直感する感覚。

 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚以外の、するどく物事の本質をつかむ心の働き、直感、勘、霊感、インスピレーション、虫のしらせ、様々な意味があるらしい。


 映画『シックスセンス』もそういった意味を含む衝撃な作品だった。

 物書きの端くれとしてそんな衝撃的な名作を書いてみたいものだ。


 さて、関係のない話はこれぐらいにして、拙作『神の血に溺れる』の始まりは、本当に第六感に従った始まりだった。


 僕自身の経験を恥ずかしながら書いてはいるが、あの始まりは完全に事実である。

 その後も十年は続いているのでこの直感はかなりなものだと思う。


 しかし、僕はそれ以外の第六感はからっきしだ。

 作品内で甘い話に気付かずに見過ごしたり、間違った相手に玉砕したことも恥ずかしながら度々語った。


 心霊現象についてはどうだろうかと考える。

 だが、僕はホラーを始めとする怪談話はとにかく苦手だ。

 すぐに目の前に想像が浮かぶようで、一人で夜になるとゾッとする。

 風呂に入るのも嫌になる。

 僕には、霊感という第六感は備わっていないと思っているのだが。


 そんな僕ではあるが、世界中あちこちを一人で旅をしてきた。

 大抵は安宿の大部屋か、仲間の多い農場での住み込みだったので気にしたことはほとんどなかった。


 フランスのブルゴーニュ・マコンでテントで寝泊まりしていた話はすでに書いたが、本編には関係ないので書かなかったエピソードがある。


 ブドウの収穫を連日行い、ワインを飲んで食べて、星空の下で眠る。

 こんな生活を二週間ばかり送っていた。


 みんなが寝静まったある夜、僕は不意に覚醒した。

 突然、カッと目を見開いたように起きた。

 

 何かおかしいなぁと思ったが、トイレに行きたくなったからだろうと起き出した。

 低い草の上を歩き、真っ暗な闇の中を歩く。

 虫の音も聞こえないほどの静寂が支配している。

 

 僕は基本的に心霊現象には臆病で、この時も後ろに何か寒い物を感じながら歩いていた。

 振り返ってはいけない、僕は闇夜を一人で歩く時はそのように感じて常に早足だ。


 そうして、トイレについて用を足そうとしているのだが、一向に出てこないのである。

 僕はなぜかよくわからない恐怖心に支配され、なぜか焦ってひねり出そうとする。

 しかし、一向に出てこない。


 僕は背後に何か気配を感じて反射的に振り返ると……






 









「ハッ!?」


 僕はまたテントの中で目が覚めたのである。

 たまにある、夢の中で夢を見るという現象だ。


 僕は寝汗をかいていたが、おねしょしてなくて良かったとホッと一息ついて再び目を閉じる。

 空が白み始めているが、まだ起きるには時間が早い。

 結局そのまま二度寝をした。

 

 しかし、第六感について考え、過去のエピソードを今になって思い出してみる。


 アレは本当に夢だったのだろうか?

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