魔法を第六感として考えてみた話

misaka

独り言

 ファンタジーを表すように、必ずと言っていい程存在する『魔法』。

 今回、私はそれを第六感としてとらえてもいいような気がするな、ということで考えてみる。なお、主観や経験による部分が大半で、論文でもない、ただの考えの羅列となる。

 魔法なんて、ファンタジーでいいやん。

 と割り切れない私の、独り言。






 まず、魔法とは。

 多くの作品で、自然界に存在する『魔素』や『マナ』と呼ばれるファンタジー物質に、人間をはじめとした特定の動植物が働きかけて、様々な現象を引き起こす現象、あるいはその行為を指すことが多い。

 また、そうして引き起こされる現象の大小、その威力は、込められるMPや意思の強さで決まる、とよく表現されてきた。


 例えば、こんなやり取りがあったとしよう。


――――

 主人公:『魔法って、どうやって使うんですか?』

 師匠みたいな人:『体内にある魔力を使って、じゃな。見ておれ……【ファイア】』


 そう言って師匠みたいな人は指先にマッチのような火を点ける。


 主:『わ、火が出た! すごい!』

 師:『今のが控えめに魔力を込めた魔法じゃな。もし魔力をたくさん込めれば……【ファイア】!』


 今度は上を向いた手のひらに、大人の拳ぐらいの大きさの火を灯す。


 主:『わ! 大きくなった!』

 師:『このように、込める魔力の大きさで魔法の規模は変わるんじゃ』

 主:『僕(私)もやってみる! 【ファイア】!』


 そう言って主人公が生み出したのは、小屋を丸ごと飲み込めるかというほどの、大きな熱の塊。


 師:『これは……』

 主:『言われたように、たくさん魔力を込めてみました!』

 師:『【ファイア】でこれほどとは……恐ろしいのぉ』

――――


 よくあるファンタジーの一幕ではないだろうか。


 今回、私が第六感として表現するのは、こうして、”人の任意で操ることのできる魔法”について。


 こうして表現される魔法はつまり、当人の意思でファンタジー物質に働きかけて、魔法を発動していると言って良い。


 では、彼ら(彼女ら)はどうやってその働きかけの強弱や大小を決めているのだろうか。


 そこについて言及している作品はあまり多くない。

 私も知らない。


 しかし、私が考えるに、彼らは表現できない、あるいはなんとなく、つまりはでそれらを調整しているのではないかと考えている。


 そこに魔法を第六感としてとらえるヒントがあるように思う。


 光の粒子として描かれることもあるが、多くの場合、魔素やマナと言った、魔法を発動させるために必要な物質は、無味無臭で不可視であることが多い。

 にもかかわらず、魔法を使う者はそれをなんとなく調整し、ある時は魔法陣にそれを、魔法を発動させる。


 調整できるということは、彼らはそれら――ファンタジー物質を任意に扱えている。が、その感覚は私(達)には表現できない。

 つまり、彼らが魔法を扱う時、ファンタジー物質を感じ取って操る、五感以外の感覚――第六感があるのではないだろうか。


 そして、異世界に転移・転生した彼らは、そうした第六感を得る、あるいは思いだすことによって魔法を扱っているのだろう。

 それこそ、魔法の無い、現代社会に生きる私(達)にはまだ、表現できないような感覚で。


 まさしく、ファンタジー。






 さて、ここでもう1つ。

 ファンタジーを代表するものとして『スキル』というものが存在する。

 しかし、こちらについては残念ながら、第六感とは言えないと考えている。


 私が見てきた多くの作品――スライムに転生した、あのお話など――で、スキルには、それそのもの、あるいはそれを扱う当人のレベルによって引き起こされる現象や威力が決定していることが多い。


 例えば、


――――

 ・「クッ……俺(ギルドマスター)のレベルで、ステータスを【鑑定】(LV:9)できないだと?!」

 「私(最初から恵まれた方の主人公/【隠蔽LV10(最大)】)、プライベート見られるの嫌なので!」


 ・「オマエ、それ本当にオレが使った【火弾】と同じスキルかよ!」

 「俺(頑張ってレベル999になった魔王)が使う【火弾】を、お前(レベル99/人類最強)と一緒にするな!」

――――


 といったように、そこに当人の意思は介入していない。

 あくまでスキルや当人そのものに、スキルは依存していることが多い。

 余談だが、こうして見てみると、スキルの方が強さを可視化できる分、無双を表現しやすいという特徴がありそうだ。


 こうして発生する不思議事象について、そのメカニズムは魔法と似た表現をされることが一般的だ。

 しかし、スキルはその使用の可否を選ぶときには当人の意思が存在しているが、使用したそれ以降は世界のシステムとして、作用していると考えて良いだろう。

 中には、パッシブスキル【苦痛耐性】のように、当人の意思にすら関係なく、常時発動しているものも見受けられた。


 こちらも、まさしく、ファンタジー。






 つまり、スキルと魔法は似て非なるものだと私は考えている。

 それそのものを調整できるか否か、という点で魔法は第六感が関わっていそうだが、スキルはそうではないように見える。


 そして、魔法を扱う際に彼らが意識して、あるいはなんとなく使用しているもの。

 私(達)には言語化できないその感覚も、また、霊感や直感のように第六感と言えるのではないだろうか。

 幽霊やUFOが今なお好奇心をくすぐるように、そんな曖昧さにこそ、私を含めた多くの人々が夢を詰め込む余地があるのだろう。


 もし、いつかその感覚が科学によって解明される日が来たなら。

 その時こそ、私達は魔法を手にできるのかもしれない。

 そうなれば、物語の主人公達が使う魔法の感覚を言語化し、新たな表現の幅が広がることにもなるはずだ。


 ただ単に私が魔法使いたいという、そんな幼稚な願いと、表現者としての成長の意味も込めて。

 人間の感覚が『五感』から『六感』になることを祈るばかりだ。

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