第六感で俺の居場所を特定してくるタイプの幼馴染み
相葉ミト
もう幼馴染みから逃げられない
「部活お疲れ様。これ、タオルと飲み物」
「ありがと、
サッカー部の練習が終わった後、なんとなくスマホで面白い投稿を探すの夢中になっていたせいで飲み物を買いそびれたから、
「
そう。
ウイルスの感染拡大が起きる前は、いつも同じ時間に練習を終えていたから、差し入れのタイミングが分かるのは当たり前だと
しかし、今の不規則なスケジュールになっても、不思議なことに
大体スマホをいじっているときに声をかけてくるから、ヒヤッとするけど。
「――第六感、だよ。幼馴染みだから分かるんだ」
そう。
本当か嘘か
それで自分を見つけて、いつでもどこでも世話を焼いてくれるから、
実際、助かっている面はあるのだけれど、幼馴染みだから
「
実を言うと。
真面目に練習し、マネージャーの仕事を手伝い、とにかく
「私のこと、いらなくなっちゃったの?」
棄てられた子犬のような目をする
「
「……そっか。じゃあ生徒会に戻るね」
◆
数日後。
「
「
最上階の映画館から降りるエスカレーターの途中。
「やっぱり? あのシーン、
「映画館でよかった!」
「いやー、あの瞬間は映画館でスマホの電源切らなきゃいけないのがめっちゃ歯がゆかった!」
インターネットに黒歴史が放流されずに済んで、
「ところでさ、これからどうする?」
エスカレーターが下の階につき、
「確かに、映画館の中でジュース飲んだからお茶って気分でもない――そうだ」
下の階はゲームセンターになっていて、ピコピコ賑やかな音楽が流れている。
「
「あの大きいぬいぐるみ? やるやる!」
そう、二人で大きなぬいぐるみに挑戦することにしたのだが。
「あー! なんで掴めたと思ったら落ちるの!」
「
「あと3枚! 頑張ってみるから両替いってらっしゃい!」
結果は、二人とも手持ちの百円玉をゲーム機に吸い込まれていた。
検索アプリを立ち上げ、
どうやら、アームを上手く使ってぬいぐるみを引き寄せる必要があるらしい。
検索を終えた
「お待たせ!」
「
「おっけ、やってみる!」
ぬいぐるみは持ち上がり、ポトリと落し口に落ちる。
「……取れた」
「やったね!」
と、二人でハイタッチした後、
「これ、二人で取ったけど、どっちのにする?」
「ゲーム機に入れたのも同額だしなあ……でもかさばるから、いったん俺が持つよ」
「いつも思ってたけど、
「そう? 昔から、荷物を持ってやらないとすねるヤツがいたから、そのせいかも――ッ!」
例えるなら、突然猛吹雪が吹き付けてきたような。
ギラギラと光を放つゲームの
「
「
「なんで
怖い!
冷や汗が噴き出す
「荷物持たないとすねるヤツって、あの子?」
「そうだけど……」
「なーるほどね。このぬいぐるみ、取ったのは
「
なぜかスキップで去って行く
どうやら自分の初恋は終わったらしい、と
「私の家、行こっか」
初恋に敗れたショックで心ここにあらず状態の
気づけば、
「ジュース用意するから、
そう言われても、ファンシーグッズだらけでなんだかいい匂いがする女子の部屋は、
必然的に、
アプリストアを立ち上げると、更新が必要なアプリは『第六感』という名前だった。こんなアプリ入れたっけ、と
――あの人の今の場所を把握! 第六感と答えれば嘘じゃない!
なんだ、これ。
「
ちょうど戻ってきた
「ありがと」
失恋のせいか、いつもよりオレンジジュースが苦い。なぜか、
かっと体が熱くなり、手足の力が抜けた。
「
「何を――ッ?!」
ベッドの上に倒れ込んだ
「実は、さっき
どうりで体が熱いわけだ。
「私がどれだけ
第六感で俺の居場所を特定してくるタイプの幼馴染み 相葉ミト @aonekoumiha
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