有ってもどうかという第六感......

ゆりえる

第六感に入れてよいのやら......?

 物心ついた時から、見えない世界系に憧れていた自分。


 実は、自分には、何か特殊な能力が備わっているのではないかと、勝手にずっと信じ込んでいた。

 テレパシー、テレポーテーション、サイコキネシス、サイコメトリー、クレヤボヤンス、リモートビューイングなど、王道の超能力のどれか1つでも身に付いていたら、自分の人生が薔薇色になりそうな思い込みをしていた。


 そういう系統の雑誌を購入して読んでいるだけで、もしかすると、身に付いているのでは......

 なんて想像しながら、日々、お花畑のような頭で過ごしていた。


 そんな自分が、気になった事象が、11年前の長女の誕生日でもある、3月11日(金)に発生した!


 その翌日は、誕生日お祝い旅行として、家族で東京に行き、私は以前の職場仲間と同窓会の予定も入れていて、その日を心待ちにしていた。


 その日の午後、寝ている次女を抱っこベルトで前抱きした状態で、PCに向かい、ブログを書いていた。

 長女の誕生日なので、長女の生まれた時の事を思い出し、生まれて来た長女を見て、生まれたての赤ちゃんを見たのが初めてだった自分は、その感想を正直に、


「全く可愛く思えなかった」


 と、ブログにタイピングした。


 その瞬間、そんな軽はずみな事を書いた自分を戒めるように、突然ガタガタと家が揺れ出した!

 その揺れは、かなり長く続いた。

 心の中で、


 この地震は、自分のせいだ!あんな事を書いてゴメンナサイ!


 と何度も何度も謝りながら、慌てて、味噌汁の出汁を取っていたガスを止めた。

 テレビを付け、てっきり、自分の住む付近が震源地だと思っていた地震が、実は、遠く離れた東北で発生していたと知った。

 こんなに距離が開いても、ここであの揺れだったのだから、東北や関東の人々は、もっと激しい揺れを体験したのだろう。

 当然、翌日の長女のお誕生日旅行も無くなり、宿をキャンセルした。


 以来、地震が恐くなった自分は、PCにかじりついては地震情報ばかり気にするようになった。


 そんな時に、体感者さん達のTwitterを知った。


 体感者さんというのは、正確には『地震前兆体感者』という、大き目の地震が発生するのを数日くらい前から当日までの間に、身体の痛みとか痺れとか脈打ちとかで知らされる能力の有る人々の事。


 そんな便利な能力が有ったら、自分もこんなに地震ばかりに気持ちを持って行かれなくて済むのにと羨ましく思いながら、その体感者さん達のツイートをチェックするようになった。


 すると、そう望んでいたせいなのか不明だが、いつの間にか、自分にも、そんな能力が有る事に気付いた!


 地震を気にする人々に、少しでもお役に立てたらと思い、自分も3年前の3月1日からTwitterを始めた。


 とはいえ、自分の場合、大き目の地震は強い体感が何日も前から続いている上、小さ目の地震も手当たり次第拾ってしまう。

 しかも、地震だけが地殻活動ではないので、噴火も反応し、その上、敏感体質ゆえか、遠く離れた太陽のフレアなどにまで影響を受けてしてしまっている。

 体感には国境が無く、海外の中規模以上の発震にも反応し、身体中あちこち痛い状態が昼夜問わず頻発する。


 その結果、タイムラグも発生地域も発生規模も的確に掌握出来ず、精度の高い体感者さん達の足元にも及ばないような、あてにならない体感状態に。

 それでも、フォロワーさん達に支えられながら、地道にTwitterを続けている。


 この第六感的な体感が宿って、良かったかというと、残念ながらメリットよりデメリットの方がむしろ多いかも知れない。


 なんせ、いつも身体のどこかが痛かったり、脈打ったり、耳鳴りが強烈だったり、痺れたり、関節が外れたようになったり、強震前には特に睡魔が猛烈で思考回路が滞る事もしばしば。

 ただ、これは、メリットになるのか分からないが、病気を疑うような身体の痛みが、大き目発震後は、嘘のように消えるので、病気の心配をせずに済む。


 この地震前兆体感のおかげで、自分は以後、地震に悩まされずに済むようになると予想していた。

 実際には、そういうわけでもなく、自分の体感と向き合う為に、常に地震のチェックを心がける事になり、結局、今まで以上に地震と関わり合うようになった。


『地球や宇宙と共鳴出来ている』と思い込めるのが唯一の自慢のような、あまり使えない第六感だが、こうして書く機会を得られて、少しは浮かばれたかも知れない (笑) 。


     【 完 】

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