心が動かない

北きつね

醒めてしまう


 子供の時から感じていた。

 友達が流行に乗るかのように、アニメやドラマやアイドルに嵌っていくのを、”何が楽しいのか”解らない。


 好きなアイドルを聞かれても、知っている名前を答えるに留める。ファンじゃなくて、なんとなく気になる程度だと言っておけば、それ以上は突っ込まれない。熱くなれない。好きだといえば、ライブにも誘われる。人付き合いが好きではないが、それでもライブには、何度か友達と一緒に出かけた。どうやら、”物欲センサー”が働くのか、熱くファンだと語っている友達よりも、チケットが手に入る率が高かった。


 アイドルのコンサートでは、周りの”乗り”に付いていけなくて、途中で抜け出して、終わり近くに戻って合流したことが何度もあった。トイレに行っていたと言い訳を言ったが、実際には会場の外で”ぼぉー”としていた。遠くに聞こえる歓声を聞くのは好きだ。自分が、あの中で歓声を上げられるとは思えない。

 バンドのライブも同じだ。周りが熱くなればなるほどに醒めていく、心が動かないのだ。

 スポーツ観戦も一部を除いて、同じだ。サッカーを見るのは好きだし、応援しているチームもある。しかし、会場に行って、中に入ると違和感が襲ってくる。周りが熱くなると、醒めてしまう。だから、好きで居るために、一つのチームを応援するようなスポーツは会場に行かないようになってしまう。


 スポーツが好きで見に行くことは好きだ。

 特にモータースポーツは、周りのテンションが高くならない。テンションが高い人たちがいる場所が限られている。その場所から離れても、会場が広く同じ程度のテンションで楽しんでいる人たちがいる場所では、スポーツを楽しむことができる。


 だから、”推し活”といわれても、”よくわからない”が答えになってしまう。


 熱くなるわけでもなく、続けているものは、プログラムと小説を書くことだ。


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心が動かない 北きつね @mnabe0709

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