第26話

 特に何も起こらないと分かったので、俺達はダンジョン探索のハンター業に戻った。


 ようやくレベルが10上がった!

 今の状態ならレベルが10上がる事に、ステポイント10、スキポイント1手に入る。

 ステータス強化系のスキルにスキポイントを使っても良いが、念の為にとっておく。

 もしかしたらランダム召喚でスキルとかが増えるかもしれないし。


 ステポイントは幸運に振っておく。

 俺はこの時に毎回思う。この運がダンジョンの外でも使えたら、と。

 どれだけソシャゲで神引きが出来るのか気になる。

 ダンジョン内部だと電波が届かない圏外なので、ゲームが出来ないんだよな。


「そう言えば、今日はクリスマスイブだな」


「そうだね。そんな中私達はCランクダンジョンボスに挑もうとしているのか」


「俺は足でまとい確定だから、よろしく頼んだ」


「よろしく頼まれた」


「あのークリスマスイブってなんですか?」


「最近勉強しているらしいけど、分からない?」


「そこら辺はまだ」


「クリスマスイブってのはな。クリスマスの前の日だよ!」


「聖夜とかも呼ばれているね。ま、私達には関係ないよ。さ、開けるよ」


 しかし、クリスマスイブの少し前からダンジョンに入って、数日かけて探索してようやく到達したボス部屋。

 クリスマスイブだからか、道中全くモンスターと出会わなかった。

 何時もなら2分間隔でモンスターとエンカウントするのに、だ。


 扉を開けて中に入ると、そこはジャングルとなっていた。

 おおきな木や蔓とか葉っぱ、まさにジャングルの奥地と言う風景だった。


「皆さん気をつけてください! 周囲にかなりの気配を感じます!」


「へぇ。暗! マスターを抱えて天井に避難しておけ! 私は整地する! シュウウウウ破壊、術式、展開!」


 蒼色のオーラをシェロは放ち、それが童話の乙姫のような感じの服装にして行く。

 暗は俺を姫様抱っこで天井まで高速で木を伝って跳躍した。

 木が生い茂って上手く見えないが、ステータスでも強化されない視力。

 しかし、暗の視力は異次元だ。


「あそこに偉そうにふんぞり返っている大きな猿が見えました!」


「俺には全く見えんな」


 下を見ると、シェロが4メートル程の戦斧を握ていた。


閃烈回斧斬せんれつかいふざん


 1回転、グルリと回転して周囲の木を、地面を、蔓を、葉っぱを、地形と言う地形を全て粉々にして行く。

 その破片がこっちまで飛んで来る程だ。


「よい!」


 暗が針を放ってその破片を恥じて行く。

 速いしとても器用だ。

 地面に着地して、俺も地面に足を付ける。

 多分、周囲にはモンスターも居ただろうが、魔石ごと粉々だろうな。

 シェロはスッキリしたような顔をしているので、良いか。


「ヌオオオオオオ!」


「お、ボスか」


「猿⋯⋯と言うかゴリラだな」


「見た目は猿ですよ。腕とかゴリラですけど」


「さてさて、鑑定!」


 レベル5547(ユニーク)

 状態:激おこ

 特技:糞投げ

 モンスターネーム:マウンテンジャングルゴリラモンキー

 固有ネーム:ランラン


 鑑定レベル10だと見えるのはこんくらいらしい。

 にしても、特技が糞投げってなんだよ。


「ヌオオオオオオ!」


 猿がブリっと茶色の物体をシリから出して、シェロに向かって投げた。

 その事に気づき、鑑定結果を見た2人。

 そして、察する俺達。


「「「いやああああああああ!」」」


 そもそもあんなんくらったら俺死ぬは!

 シェロが俺を掴んで横にステップして避ける。


 着弾地はべチャリとして、独特な異臭を放っている。


「貴様ら! 我が同胞を殺した罪! 償わせてやるううううう!」


「マスター!」


「良いよ! 流石に精神的にもやばい! 虫も居そうだし! 暗! 今日は本気でやってOK! さっさと殺れ!」


「良いんですか! やっっっったあああ! 最近新しく作って見たんです! 腐食性溶毒!」


 暗が猿の上に紫色の球体を投げた。

 あれは、なんだ?


「水風船か?」


 シェロがそんな事を言った。

 シェロも視力良いのか?


 暗が針を飛ばしてその水風船を割った。

 パン、と綺麗な音を鳴らして紫色の液体が猿に掛かる。

 焼けるような、溶けるような痛みに藻掻く猿。


「ふっふっふ。それは肉を腐食させ、最終的には塵となる。さらに、骨を溶かす成分があるのだ! さらにさらに、腐った肉を吸収してその量が増す! 一滴でも血に入れば体全体にその毒は回る!」


 それもう暗殺者の領域を超えに超えてんよ。

 そして、予想通りに魔石まで綺麗に溶かした。

 うん。知ってた。ボス魔石って俺達の中ではめっちゃレアだもん。


「おぉ」


 さっきの茶色の物体も消え、ジャングルも消えた。

 所々に魔石が転がっている。

 もしかしたら、他の生き残ったモンスターも消えて、魔石を遺してくれたのかもしれない。

 アイテムボックスの容量も問題ないので、しまっておく。

 いやーウハウハだ!


 なんかCランクになると殆どの人はギルドに入るらしいけど、俺達、正確には俺に問題があって入れないんだよなぁ。

 ま、こいつらにも問題あるけど。

 レベル詐欺なんだよなぁ。

 絶対に隠蔽系のスキルを疑われるよ。


「さて、帰って風呂入るか」


「賛成! 服に絶対臭い付いた!」


「アチキは問題ないですけどねぇ」


 こいつらは人間と違って、自分の意志でステータスが使える。

 もしも、俺が嫌われたら、どうなるのか。

 俺には攻撃出来ないようだけど、その周囲は違う。


 ちなみに回復系のスキルや魔法はダンジョン外でも普通に使える。

 アイテムボックスと同じだ。

 便利なモノだったり何かを壊すモノじゃない場合は大抵外でも使えるのが多い。


 1度家に帰り、シャワーを浴びて服を着替えて、温泉に向かう。

 折角のクリスマスイブだし珍しい事でもしてみようかなと。

 暗がホームレスの人達も誘ったようだが、断られた。

 暗はホームレスに言われ、一緒に来る事に成った。

 サツキ達も一緒に一緒に来る。


「大人5人、ですか?」


 チケット等を購入して、受け付けに持って行ったら、シェロを見ながら疑問をぶつけてくる。

 シェロは静かに、表情を変えず、瞳の奥にある炎を受け付けの人に見せる。


「一応、ハンターです」


「一応とはなんだ!」


 鍵を受け取り、それぞれの風呂に入って行く。

 ナツキはイケメンで見た目もなかなか若い。

 戸籍では23歳だった。

 風呂場に行くまでに、様々な女性からの目を奪っていた。

 対象に、サツキは男の目を奪っていた。

 暗は誰かに気づかれる事は無く、シェロは見た目子供だしね。

 俺? 俺はモブだよ。この美男美女の中だと。ほんと。

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ランダムガチャでどん底人生逆転し最強へ至らんとす〜ユニークスキル【ランダム召喚】でアイテムだろうが人材だろうが楽々召喚〜 ネリムZ @NerimuZ

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