そして三月九日が、千佳の推しだからなの。

大創 淳

第二回 お題は「推し活」……ちょっぴり未来のお話。


 ――三月九日。その日は、冬と春の真ん中。節目ともいえる場所なの。



 そして僕は今、子供と大人の節目。つまりは卒業を迎えるの。僕らの学園は中高一貫だけれど、同じ学園の中で中等部から高等部へ進学するのだけど、中には他の高校を受験して旅立つ者もいる。其々の道があるが故の儀式、中等部の卒業式がある。


 その卒業式が行われる日が……

 三月九日と、いうことなの……


 だったら何が推し? それがね、三月九日が大いなるキーワードなの。それは曲名だから。卒業ソングともいえる曲なのだけれど、本当は共通の友人の結婚式を行った日。


 路面電車が大好きなバンドの『レミーロメン』


 僕がエブリアニメの主題歌以外に推しているバンド。僕もまた、そのバンドのメンバーたちと同じく路面電車が大好きだから、親近感をも感じているの。卒業式が刻一刻と近づくにつれ、その曲が脳内を駆け巡るの。何度もリピートされながら……



 そして卒業式で泣いちゃうのは、


 きっと悲しいからなんかではないの。新たな門出をするための心の洗濯……一つ大人になるための、ある意味でのケジメ。深き思い出を輝かせるための、粋な演出だから。


 だからこそ、綺麗な涙……


 と、いうことは、やっぱり卒業式で泣いちゃったの。


千佳ちか、何泣いてんの?」


 と言いながらも可奈かなも、梨花りかも……女の子が皆も皆。そして流れる曲……あれ? あの曲が流れているの、その曲の名は『三月九日』――誰が誰が誰が? それはそれはそれは「わたしだよ!」と名乗りを上げる瑞希みずき先生。


 なぜ彼女がここに? と思っていたら、高等部でお世話になるから……という意味を込めてのこと。三月九日の向こうには、もっと夢が、現実のものへとなってゆくから。


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そして三月九日が、千佳の推しだからなの。 大創 淳 @jun-0824

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