色恋罪科
珈色かぷち
第一条 偽り、軽い愛
ニュースです。
今月17日、□□県××市の−−さん(17)が自宅近くの歩道橋から飛び降りて亡くなりました。警察は、両親に精神的虐待を受けていたと見て調査を––
「あたしはそうなりたくないなあ」
テレビもない静かな部屋にいるのは嫌いだけど、煩わしいニュースはもっと嫌いだ。
学生として社会を学ぶため、ニュースは毎朝見ている。新聞も読むが、そこには私の理想ではないものばかり。
自殺するくらいなら、煩わしいもの全部消しちゃえばいいのに。
日本の自殺者数は年々増すばかりだと聞くが、バカが年々増えている。
政治?感染症?殺人事件に事故、ましてや虐待。くだらない、どうでもいい。
全国に報道すべき事は、"そんなこと"では
ない。
「また居たんだ、君のことをやらしい目で見てる生徒。舐め回すようにね」
私は、彼女愛する人に話しかける。
そこにはいないけれど、想いは通じ合っているのだ。だから、私は"彼女と会話"をしている。
一人の部屋、誰もいない、雨の音。だけど君がいるなら、私はそれでいいかな。
だってこんなにも近くにいる。
「あなたは汚させない。えへ、高校を出たら私が警察官になるんだ」
犯罪者は汚い。法律を破るな、ルールは絶対だ。
警察は当てにならないから、私が罰する。
社会貢献、ボランティア、皆勤賞!
優等生、野々葉遮菜。
"色恋罪科 第一条 偽りの愛"
「ねえねえ遮菜ちゃん。朝のニュース見た?」
「うん!見たよ?あれさ、東京五輪、本当にやる気なのかな?」
まあ、どうせ虐待死か暴走事故かなんかの話題だろう。
遮菜はどうでもいい。
政治は勉強になる部分もあるからまだマシ、でも、あんなのは知識としてひけらかす材料にすらならないし。
「違う違う!コロナじゃなくて。
自殺した子の話、可哀想だよねえ」
「あー!そっちかぁ。うん。来山さんも抱え込んじゃうとこあるから、ああなる前にちゃんと周りの人を頼るんだよ?
ーー遮菜とか、ね!」
遮菜は、人を依存させるのが得意だ!
そうに違いないだろう。
「も〜遮菜ちゃんやさし〜!また彼氏のこととか相談するかも〜」
そう、この女、彼氏がいる。
正直、非常に気色悪い。この前はお昼休みに聞かされて昼飯を全て嘔吐した。
だって、こいつ、"愛がない"。
彼氏がいる自分に酔っているのだ。恋してる自分を愛している!自分が可愛くてしょうがないのだろう。私は、
私は、そんな軽い感情を、愛と呼ばない。
性欲に身を任せ妊娠したのだ。中絶。学校ではこんな清楚系でも、放課後は男の逸物をしゃぶってガクガク痙攣して悦んでんだろうな。
ーーうわ、気持ち悪。
残念なことに、それを想像して興奮してしまう遮菜もいる。でも、こんなビッチの猿みたいな性行為には興味ない。抱けるのなら、愛するあの人だけ。
だが、交友関係は大事だ。遮菜は敵は作らない。味方は多くても損しない。
「あ、でも私、今はね」
彼氏と別れて くんと付き合ってるの。
「そうなんだ。いつ別れたの?あんなにラブラブだったのにどうしちゃったの〜?」
「ほんと先週!なんか飽きてきちゃって。もっとカッコいい子たくさんいるし、面倒くさい人嫌いなんだよね」
「そっかそっか〜。ちゃんと愛せるといいね!」
ああ、面倒くさい。こうなるとは思ってたんだ。
だってこいつ、そういうタイプだもん。多分、遮菜が知らないだけでとっくに"第六条"も違反してそう。
胸の奥に湧き上がる、あつくて憎くて体が支配されてく感情。
罪深い。こんなの許されない。今まで見逃してあげてたけど、悪い人には自覚をして反省してもらわないと。ちゃんと。しっかりと、更正させるんだ。
第2条。
"ねえ、そういえばちょっと話があるんだ。
午後7時、四谷公園に来てくれない?"
送信。
遮菜は、未読無視なんて許さないからね。
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