第二条 断罪
バールに金属バット、ナイフにスタンガン。
準備よし!
今日は絶好のお出かけ日和!
午後7時約束通り、四谷公園で待つ。
「遮菜ちゃーん!」
来た。
罪深い犯罪者が。
"色恋罪科 第二条 断罪"
向かってきた彼女に私は手を振る。
「あ!待ってたよ〜!」
近寄ってきた彼女に私はすぐさま後ろ手に隠していたスタンガンを浴びせる。
「第2条。軽々しく男女交際あるいは性行為をしないこと。」
「よって、野々葉遮菜は貴女に有罪判決を下します。」
電撃のあまりの衝撃と痛みに呻き声しか出ない様子だ。
すぐさまバールを振りかざす。何度も、何度も。ぐちゃぐちゃになるまで。
「ぐっ、ゔ、うぇ、あ゛」
遮菜は、この近辺は人が少ないのをよく知っている。
やがて意識を失ったか、亡くなったか、その声も失せた。
「じゃあね、ビッチちゃん。」
今日も断罪できて楽しかった!
正義の味方になった気分になるんだもの。
だって、愛はそんなものじゃない。
軽すぎる。軽い。軽薄で脳足りん。
だから、遮菜が更生してあげた。
私は正しいことをしている!
「ねえ、そうでしょ?花耶《はなや》さん」
壁に向かって語りかける。まるでそこに居るかのように。
ーーーーーーー
私の天使。聖なる天使。高校に入ってからずっと見てた。
始まりは入学した時だった。
「ひゃ!」
廊下で転けてしまった私。手を差し伸べる彼女。
「大丈夫、?」
手に触れる。ビリリと衝撃が走る。穢れが浄化される音がする。
それから私はずっと花耶さんを見ている。席は遠く、彼女は一番前で私は一番後ろ。
そんなのは関係が無い。
「ねえ、遮菜ちゃん」
虐められっ子の
「君いつも遠くの席みてるよね」
「……だったら何?」
「優等生も俺にはこの対応かぁ。参ったな」
気持ち悪いから早く何処かに行ってほしい。
「遮菜ちゃんっておっぱい大きいよね」
「な……」
「ちょっと!野々葉さんに絡んでんじゃないわよ!」
「全く邪魔が入るなぁ、空気読めないのはお前らの方じゃないのか?」
そう言うと自分の席に戻ろうと、立ち際に私に耳打ちをしてきた。
「花耶さんのこと知りたいの?」
「え」
それだけ言うと彼は去っていってしまった。
もし私が彼女に近付く一歩が何かそこにあるのなら、自閉症のバカ藍甘でも利用してやろう。
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