20時。

ラウンジのカウンターで飲んでいると

今、この瞬間にも

彼の転勤で別れ話を始めたカップル

謝罪先に車を走らせている営業マン

病院で家族に見守られながら息を引き取ろうとしている老人

楽しかった休暇を終え、日本への便に乗り込もうとしている旅行客

家族団欒のあと「早く風呂に入って」と奥さんに追い立てられている旦那さん

色んな人間模様があるだろうが

今まさに異国の地で、反政府軍に射殺されようとしている人質の自分、という運命を

家族の顔を思い浮かべながら、どれだけ恨んで泣き叫んだか・・・

もう2度とあんな思いはしたくない

そうしみじみと語るのは40代の頃、南アフリカに2年間、現地建設指導員として派遣されたことのある60代男性。

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