第181話 投稿

Fさん(27)は風呂上がりの22時、ベッドに寝転んでボーっとスマホをいじっていた


某怪奇サイトで特集の組まれた「あなたの体験した奇妙な出来事」に目を通す


4人目の体験談


Pという男性の暮らす町で起こった出来事らしいのだが


読み進めていくと


団地や道路、バス停やスーパーなど、町の情景がリアルに頭に浮かんでくる


なぜならその描写が、Fさんの地元の町と、とても似通っていたからだ


建物の名前などはイニシャルで伏せられており、それはどうやらサイト運営側の規制によるものらしい


原文は実名表記だったみたいだ


このPという奴、まさか俺と同じ町の出身なのだろうか?


いや、Pの通っていた小学校・そこにいた教師の特徴を読んで確信した


Pは俺と同郷だ

もしかすると知り合いかも知れない


ただ・・・

年齢が近そうな割には文章が異様に稚拙だ


そしていよいよ、奇妙な体験が語られ始めた


Pが小学校の頃の話のようだ



【あの日、僕が友達3人と公園で遊んでいると、急に空が暗くなってきました


雨が降るのかなと思って僕たち4人は屋根のあるベンチに移動しました


その時からおかしいなと思っていた


さっきまで公園には散歩の人とかスケボーの人とかいたのに


まわりを見たらもう僕たちしかいなくて


空が真っ暗になって、そのうちポツポツと雨が降りだして


遠くでゴロゴロ雷も鳴ってました


そして大雨になりました


ザーザーザー

ザーザーザーザー


ゴロゴロ・・・

ピカッ!


パッシャーーーン!!!


とつぜん真っ白な光がついて地面がグラグラして


体がビリビリして、僕は地面にたおれた


全然うごけない

となりで友達も倒れてた


雷だ

雷が落ちたんだと思いました


それから少しして起きたら、目の前が白黒になってました


皆も色が見えないみたいでした


それから僕たちはこの公園から出られなくなりました


公園の外は見えるのに進めない

壁なんかないのに


公園の前の道路に誰も歩いてないし、車もぜんぜん走ってない


僕たちは何度も何度も公園から出ようとしたけどぐるぐる回っているだけでした


それからなんにち過ぎたのか

もうぜんぜん分からないです


お腹も空かないし

トイレにも行かないです


たぶん僕たちは死んでるんだと思う


誰か助けてください

帰りたい


お母さん】



・・・確かに俺が小6のころ、小5の生徒4人が行方不明になる事件があった


大雨の日だ

公園に雷が落ち、大変な騒ぎになった日だ


このPという人物は、その当時のことを知っていて話をでっちあげたってところか


しかしなかなか面白い


Fさんは早速、小学校時代の友人2人にURLを共有して送信した


『そのPって奴の話、なかなか面白いだろ』


その日は2人から返信がなく、Fさんは眠りに就いた


翌朝


2人から返信が来ている


『Pって誰よ?寝惚けてる?』

『Pの話なんてどこにも載ってないが』


Fさんは昨夜見ていたサイトを開く

Pの投稿は見つからなかった


削除された形跡もなく、初めからなかったかのように消えていた


F「でも本当にあったんですよ。嘘じゃないです。これだけ鮮明に内容も覚えてるし・・・」



手の込んだ悪戯か。

異次元からのSOSだったか。

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