第132話 Warning

気がつけばクルーに必死に揺り起こされていた


「早く!早くここから出ないと!」


「えっ?えっ?」


「この船は今、沈んでいます!」


「えっ・・・ええっ?!」


船が沈没?

何の話?

ここはどこだ??


「早く!あの扉の向こうはもう海水です!急ぎましょう!早く海上まで上がらないと!!」


「ええっ?!」


クルーは部屋の扉までダッシュする


「いいですか!私の後に続いて!!海水が流れ込んできたら一気に泳いで上に!上に!!」


突然のことで心の準備も何もできていないが、とにかく息を整えるため深呼吸する


ス〜〜ッ、ハ〜〜ッ、ス〜〜ッ、ハ〜〜ッ


「では開けますよ!」


クルーが扉を開けると同時に一気に海水が流れ込んできた


「私に・・・続い・・・!!」


クルーは何か叫んでいたが、部屋は一瞬でプールの底のようになった


心構えも何もないまま息を止めて泳ぎだす


クルーもう、はるか上を浮上している


早い?!

というが俺、全く息が続かない?!


無理だ無理だ!

海面までなんて保たない!!


ああもうだめだ!!

息が吸いたい!!


ああ!!

ああああ!!


限界・・・


思い切り息を吸い込むと同時に大量の海水を飲み込んだ


うぐぁ・・・



「はあっ!はあっ!はあっ!!」


そこで目が覚めた

心臓が早鐘を打っている


「ここ2ヶ月、頻繁に見るのよ。あれは沖で死んだ、オヤジの最期の記憶なんじゃないかと思うんよな・・・」


沖に出るのを躊躇う漁師のKさんの話。

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