第115話 寝言

午前3時過ぎ。


「ん? んん?!」


隣で寝息を立てていた妻(54)が突然、問い返すような大きな声を上げた


寝そびれてつい先程まで携帯を見ていた夫の直人さん(56)は


その大きな声に驚いて妻の方に振り向く


次に妻はムクっと上半身を起こすと


「死ねば?死ねばいいのよ!」と叫ぶ


思わず「えっ?だれが?」と聞いてしまった直人さんに振り向いた妻が


「あなたよ」


そう笑顔で答えると、再び布団を掛けてグーグーと寝てしまった


翌朝の妻は、自分が寝惚けたことを全く覚えていない様子


直人さんはその夜の事を、墓場まで持っていくそうだ

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