第101話 トラベラー

B幼稚園。


室内保育のあと自由時間になり、お庭で遊んでいる園児たち


それを室内からポツンと1人、眺めている男の子に山崎先生が近付く


「どうしたのナオキくん。おそとであそばないの?」


チラッと先生に目をやったナオキくんだったが、また庭に目線を戻すと腕組みをはじめた


「なぁにそれ笑 それ"うでぐみ"っていうんだけど、なんだかおとなのひとみたい。」


「ん〜・・・」


「ん〜?笑 どうしたの?なにかいやなことがあったの?」


「いや・・・そうじゃなくて」


「えっ?」


「ん〜・・・ま、良いか」


「えっ?なに?どうしたの?」


「間違えたんだよね」


「えっ?」


「戻りすぎたの」


「・・・えっ?」


「あっ大丈夫。気にしないで」


明らかに口調が大人のナオキくんにギョッとした山崎先生は、無意識に後退りする


その後も数分間、室内から庭を眺めていたナオキくんだったが


突然フッと我に返ったように運動靴を履くと「わぁ〜」と庭に飛び出していった



俺「・・・嘘でしょ?出来過ぎでしょ笑」


客先部長「娘の同僚なんだよ山崎先生。ナオキくんを見る目がおかしいから聞いたら、そう言ったんだって。」

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