第88話 天国から地獄

2023年12月、55才をもって早期退職したEさん


定年まで勤め上げるより、次の人生に余力を残して55で辞めると決めていた


決して多くはないが、30年勤め上げてある程度まとまった額の退職金も出る


家族にも了承を得て、その一部を元手に飲食店を始めようと計画していた


Eさんは11月末が最終出勤日で、12月は丸々、有給休暇を取ってのんびり過ごしていた


その間、次の計画の準備を進めながら、早ければ年明け1月中にも振り込まれるであろう退職金を心待ちにしていた


12月28日。


出勤していれば納会&サラリーマンとしての最終日だ


自宅PCであれこれ、店の候補となる物件を選定していると郵便局員がやってきた


内容証明郵便だという

会社からだ


何だろう?

今更退職関連の書類だろうか?


サインして受け取り、テーブルに戻ると、長形3号の封筒を開ける


A4の紙が出てきた



通 告 書


このたび貴殿の行為として発覚した、業務上横領、領収書改ざんを含む、背任その他不正行為に対する賠償として、以下のとおり請求しますのでお支払いください。


1.在職中の不正行為に伴う損害の解決金 800万円

2.逸失した営業利益の概算額 600万円

3.業務上横領に対する弁済額 200万円


なお、規定により貴殿を懲戒解雇とし、退職金は支給しないものとする。


支払方法については以下の・・・



Eさんは頭が真っ白になった


心当たりがあった

バレないと思っていた


いつから内偵されていたのだろうか・・・

まさかこのタイミングで・・・


俺の人生は今、地獄に変わった




E「・・・っていう初夢だったのよ!最悪でしょ?俺、目覚めてもまだ心拍数ヤバかったから!」


俺「心当たり、あるの?」


「いやいや笑。それはまあアレ、誰でもやってるレベルだったし、大丈夫なんだけどね」


正夢にならんことを祈るよ、友として。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る