第70話 スィートホーム後記
前話のことがあって、自分にも違う世界があっただろうかと考えたときに
ふと、ある女性のことを思い出した
思い出したというより、普段は胸の奥に仕舞われている想いというか。
今から8年前、博多でスナックをやっていた冬子ママという女性が咽頭癌で亡くなった
俺の5つ下だったから当時まだ42才
亡くなってから1週間後、彼女から
「今まで仲良くしてくれてありがとうございました」とLINEが届き
さして驚きもせず「こちらこそありがとう。けど俺はどうしたらええねん」
そんなことを返信した気がする
ところがどうやら送り主は彼女のお姉さんだったようで
妹と仲良くしてくださった皆様に御礼を返しています、との事だった
「そういう事でしたか、御丁寧にありがとうございました」と再返信したが
お姉さんは、ふゆこ・・・店では「とうこ」だったが
ふゆこちゃんと俺との関係を知っただろうなぁ・・・と
とても気不味い思いをした記憶がある
で、8年経った今も彼女のLINEアカウントは残っている
過去のやりとりは全て消えてしまったが。
御親族がまだ電話番号を解約されていない、という事なのだろうか
冒頭の話に戻る
自分にも、違う世界があっただろうか。
彼女と暮らす世界が。
晩年は、まいにち体調の優れない彼女に
もう店を辞めて俺と島で暮らそうと切り出したこともあった
だが彼女は
「Tくんと私は似て非なるもの。『自由』と『わがまま』くらいに。」
私はこの店が命。だから辞めることはない。はっきりと言われた
「やけん起きて!早よ目ぇ覚ましぃ!笑」
そして現在。
この「起きて!」は
https://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16817330650771380451
冬子ちゃんじゃなかったのかな
心の何処かで未だ断ち切れない俺に
「私への想いはたいがい(いい加減)忘れんしゃい」
そう言いに来たのかもしれない
思い出を美化したいだけかも知れないが笑
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