第63話 やっちゃダメ

自分に霊感があるかどうかを調べるテスト。


皆様も一度は、聞いたりやってみたりしたことがあるかも知れない


①目を瞑り、自宅に自分がいる事を想像する


②次に想像の中で家の窓を全て開けていく


③想像の中で窓を全て開けたら、今度は開けた窓を全て閉めていく


④この開け閉めをしながら家の中を移動中、1度でも誰かとすれ違えば


貴方には霊感があります、というもの。


先日、金城くん(29)が合コンに参加した際、その話になったらしい


Aさんという看護婦の女の子が「その話、したくないなぁ」と顔を曇らせる


「えっなんでなんで?」皆に質問攻めにされ


最初は渋っていたAさんも、最終的にはその理由を話してくれた


Aさんが高校2年の頃、その霊感テストがクラスで話題になったそうだ


「誰かとすれ違えば・・・って初めに分かってるから、逆に絶対誰か浮かんじゃうよねー笑」


そんなことを言いながら休み時間、友人5人でやってみた


ところが、一斉に目を瞑り開始してみたところ


Aさんは最初の窓を開けようとして背後に気配を感じた


あ〜これは友人の誰かが目を瞑らず、後ろから「わっ!」と驚かそうとしているのだと思い


目を開けて振り返ってみた


ところが5人の友人はそれぞれに目を瞑ったままジッと瞑想している


"あれ?気のせいか・・・"


Aさんは再び目を瞑り、霊感テストの続きを再開した


順に窓を開けて、さて次は窓を閉め・・・って、誰?!


Aさんは再び目を開け、自分の背後を振り返る


しかし誰もいない

皆、まだ目を瞑ったままだ


"おっかしいな・・・"

首を傾げながらまた目を瞑る


多少気味が悪かったが、自分が臆病なだけかも知れないと、最後まで窓を閉めきったところで


誰かがAさんの背中に触れた


「誰っ?!」

思わず声に出して振り返ると誰もいない


その声にびっくりした友人たちが「どうしたのA?」と自分を見つめている


「あっいや、何でも・・・」

何故かその事は皆に言わなかった


友人たちは口々に、母親とすれ違ったとか犬がいたとか


結果的にはそれほど盛り上がらず「検証」は終わった


そしてその日、Aさんは


学校の帰りに寄ったショッピングモールの下り階段で


突然背後からダン!押されて14段落ち


肩や腕、頬骨など数カ所を骨折する重症を負い


1ヶ月間、休学する羽目になったのだという


目撃談がなく犯人は不明のままらしい


「あれは霊感テストなんかじゃないですから。皆さん絶対、やっちゃダメですよ」


そう言うAさんは合コン中、常に背後を気にしていたそうだ

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