第62話 電気

現在の事務所は、ビルの3階に入っている


同じフロアには会計事務所と人材派遣事務所があり


共用部のトイレがふさがっているときには、上の4階のトイレを使う


というか大をもよおした時は、3階トイレが混んでいなくとも4階に行く


空間を誰にも邪魔されず、ゆっくりと排出したいからだ


4階フロアは貸会議室のみなので、利用のない日は電気も消され、非常灯しか付いておらず真っ暗だ


そんな中をトイレまで行き、内側の電気を付けるまでは少々不気味だ


ある日


いつものように大をもよおしたので階段で4階に上がる


その日も会議室の利用が無かったため、フロア1面は真っ暗


トイレに向かい、ドアを開け、内側の電気を付ける


よし、今日もゆっくり出せそうだ・・・


さあ、とズボンとパンツを降ろし、便器に座り、踏ん張る


おおっほう・・・


その時。


突然、男子トイレのドアがキイィ・・・と開く音がした


数秒の沈黙。そして


「パチ」


電気を消されてしまった


おおおぃ!・・・とは叫べなかった


警備員が巡回にきて、消し忘れと思って切ったのであるなら


「あなた何故にここでウンコしてるんです?」と思われるのも嫌だからだ


仕方なく真っ暗な中、スマホの明かりを頼りに残りを済ませた


後日。


また大をもよおして4階へと上がり、その日も真っ暗なフロアを抜け、真っ暗なトイレの電気を付ける


・・・いや待てよ?


誰だか知らんがあの日、電気を消した人物は、大の個室が使用中であることを知っていたはずだ


何故なら無人であれば個室の扉は開かれているが、そうでなければ今のように扉が閉まって


・・・なんで個室が閉まっているのだ真っ暗だったのに(ll゜д゜)


俺はトイレの電気を付けたまま、慌てて4階フロアから退散した

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