第59話 悪夢(前編)

・・・ある女性が見た夢の意味とは。


その女性、実家の自分の部屋で寝ていると、必ず金縛りに合うという


そしていつの間にか、軍服姿の男性の遺影を前に、自分が座っている


次の瞬間その遺影が宙に浮き、自分に迫ってきて・・・目が醒めるのだという


家族に聞いても、身近にそのような軍服の男性はいないという


そしてその部屋は、誰か寝ても必ず金縛りに合うのだという



俺「アメリカでも金縛りとかあるん?まあ、そらぁ、あるか笑」


宮里「あっ日本の話です」


「ん?エアフォース(米空軍)の人から聞いた話やろ?米兵の体験談ちゃうの?」


「日本人の体験談です。その軍服の男、胸に日本が貼ってるらしいです」


「日本が貼ってる?その夢の話はベース(米軍基地)の人から聞いたんやろ?」


「はい」


「適当に言ってるんじゃないよな?」


「もちろん。貼ってるそうです『日本』が」


「そんな、スポーツの世界大会みたいに国名書いて貼ってるわけ?笑」


「いやあの漢字じゃなくて、国旗」


「国旗?日の丸が貼ってあるの?」


「はい」


「あのー宮ちゃん、揚げ足取ってるわけやないのよ。確かに俺、怖い話集めてるけど、信憑性ないと嫌やから聞いてるだけやねん。軍服に国旗なんて貼るかな?」


「写真を見たらしいですカーター(米兵)が」


「写真?夢にでてくるものの写真、っておかしいでしょ笑」


「スマホに写ってたんですって」


「ん?んん?起きて撮ったってこと?」


「寝てる自分が夢の中で撮ったらしいです。自分は寝てると思ってないから、手に持ってたスマホで写したらしいです」


「ごめん、にわかに信じれんわ笑」


その後も宮里くんから聴取した話を要約すると


エアフォース所属の米兵・カーターが、日本人のガールフレンドから見せて貰った写メに、それが写っていたと。


彼女の異様な怖がり様から、フェイクとは思えないと。


軍服姿の日本兵の遺影が、確かにこちらに迫ってくるように見えると。


ただ、胸に付いているのは日の丸ではなく旭日旗のようだ


それを掴みにいこうとしたのか払おうとしたのか、宙に浮く遺影に向かって、伸びた左手が写っているという


その翌日


ウチのボスが信じてくれないという話を、宮里くんがカーターにしたところ


じゃあその子がまだ画像残してたら、見せて貰えるかどうか聞いてみる、ということになった


ところが


折り返しすぐカーターから電話があり、彼女のスマホが繋がらないから心配で会いにいく、という


その夜、カーターから連絡がきたが


どうやら怖がるだけのレベルの話では無くなったようだ


彼女はお祓いが必要かどうかを迷いながら、その不気味な画像を残していたところ


数日前に突然、画像が変化したというのだ


それを見た彼女は恐ろしさのあまり、電源を切ると、スマホを床に投げ捨てたという


固定電話に掛け、ようやく彼女と繋がったカーターが彼女の部屋に行き、投げ捨てられたスマホの電源を入れ、問題の画像を開いてみると


宙に浮く軍服姿の男が以前より大きく迫ってきており


その顔が、苦痛に顔を歪め、叫ぶように大口を開けている


更に画像手前から伸びていた左手の手首までが、その口に"食べられている"と言うのだ


ギョッとしたカーターは彼女と一緒に、彼女が前もって調べていたユタの家に向かったが


そのユタから「私では無理なので、もっと強い人を紹介する」と言われ


その紹介されたユタも、最初のユタから電話で内容を聞くとすぐさま


御嶽(うたき・琉球神道の祭祀場)で力を溜める必要があるとの事で、数日、入山されるという


初めは笑っていた話が何だか大事になってきた


結果によっては『後編』が載せられないかも知れない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る