第50話 フォロワー

ここではないが、ある場所で小説を投稿連載している女性がいて


そこそこ読者もいて、物語は終盤に差し掛かっていた


ある日、フォロワーになった女性から連投でイイネを戴いた


一話4000字程度で、既に70話ほど掲載していたが


真夜中に一気に読破いただいたようだ


数分刻みでイイネが付いていた


「凄いわねこの人・・・嬉しい話だけど・・・」


すると、現時点での最新話にその女性からコメントが入っている


どんな感想くれたんだろう・・・



『ハルちゃんがみたい ハルちゃんがまだ出てこない』



えっ?

えっ?

ええっ??


・・・なんで?!


心底ゾッとした


なぜなら晴子(はるこ)、通称ハルちゃんは、まだ自分の脳内プロットにいたからだ


予定では3話ほどのちに、終盤のカギを握るキャラクターとして登場させる予定だったのだ



『ハルちゃん?笑』



他のフォロワーも見ることができるので、極力素っ気なく返信してみた


だが、それ以降応答なく


続きを2話ほど投稿したが、その女性からの反応は消えてしまった


ハルちゃんの話なんか誰にもしていない


それ以前に周囲の人間は、私が小説を書いていることすら知らない


う~んどうしよう。


そのまま晴子を登場させるか名前を変えるか。


不本意だったが、ネタバレされたようで少々腹も立っていた


「由美」に変えて登場させた


実は晴子という名にちなんで色々と伏線を考えていたから


「由美」で練り直さねばならなかった


ところが意外にも


由美に変えると次から次とアイデアが浮かんできて、ストーリーに加速度が増した


読者からの反応も概ね好評だ


なんだか・・・腑には落ちないけれど


あの女性からの奇妙な書き込み、実は吉兆だったのかな?


その後15話ほどの連載を経て、満足のいく形で物語を終わらせることができた


PCに向い、ふとあの女性の書き込んだ回を開いてみる


ユーザー名、文世からのコメント。


『ハルちゃんがみたい ハルちゃんがまだ出てこない』



俺「文世って貴女の本名よね笑」


文世さん「そうなのよ・・・」


1話からよく見返せば


「がんばって!」「面白~い」「これからどうなるの?!」


文世からのコメントは80件ほど入っていたそうだ


「まさか二重人格?」


「でも全部、私が寝てる真夜中だよ?」

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