第28話 三途の公園

目が覚めると、自分が何処にいるのか判らない


頭が重い・・・ちょっと起きよか


ん?ベンチ?どこ?公園?

何でこんなところで寝とるねん・・・


わ!なにこの服!

いっぱい血~飛んどるやん


うわ~顔がカピカピ

鼻血かぁ?


てか・・・さっきから音がせん


朝?昼?

日差しが緑の隙間から漏れとるけど


おかしいな?

葉が揺れとるのに風の音がせん


雀はおらんの?鳩は?

車の音もせん


人もおらん・・・あっ、俺もしかして


死んだんか?

そうか~マジか~


ん?

なんやあのおっさん、こっち来る


浮浪者か?

・・・あ、となり座るの?


おっさん「にぃ・・・いの・・・・」


えっ?聞こえんのよ(´・_・`)

もっかい言うて?


「兄ちゃん若いのに・・・」って?


せやねん

よう覚えとらんねんけど


俺、死んだんやろ?

おっちゃんはいつ死んだん?


もう忘れたん?

ふ~ん・・・ずっとここ居んの?


え?タバコ?

ありがとう


うっわ、めっちゃ湿っとる・・・(てかおっさん臭っさ!)


あれ?

くさい、って感覚、残っとるんや・・・


いや、待てよ・・・きのう、飲んで・・・


ここでケンカして・・・どうなったんや?


まあええわ、もう。


頭痛った・・・

耳がコポコポいうとる


・・・あら?


犬?女の子?散歩か?

俺まだ生きとるの?


なんや。生きとるのか。

別に死んでもよかってんけどな・・・


おっちゃん、タバコありがと。

帰るわ。



鼓膜が破れて聞こえなかっただけだった


朦朧としていたが、おっさんの匂いが気付となって正気に戻った


ふらふら歩いている俺に通行人が気付き


救急車が到着した


連れて行かれた救急病院で軽い脳挫傷が見つかり


放っておいたら死んでたかもよと言われたのが、今から30年前。


あのおっさんは結局


浮浪者の姿をした三途の門番だったのかも知れんな


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